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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術48巻10号

2020年10月発行

雑誌目次

病気のはなし

骨粗鬆症

著者: 三浦雅一 ,   佐藤友紀

ページ範囲:P.1092 - P.1097

Point

●骨粗鬆症とは低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増加する疾患である.

●骨粗鬆症診療には,早期診断が重要であり,すでに発症してしまった骨粗鬆症に対しては効果的な治療およびより精度のよい治療モニタリング,そして骨折リスクの評価が必須事項となる.

●日常検査で活用されている骨代謝マーカー検査は,日々の骨代謝状態を適確に表現しうることが認められており,動的指標としての骨粗鬆症診療では有用である.

技術講座 病理

美しい病理マクロ画像を撮影するために 基本編

著者: 二村聡

ページ範囲:P.1114 - P.1120

Point

●日頃から美しい病理マクロ画像(よいお手本)を見ておく.

●被写体と補色の関係にある背景板を使う.

●スケールは検体の下方に配置し,汚れたものは使わない.

●構図決定は三分割法を利用する.

微生物

迅速発育抗酸菌の薬剤感受性試験

著者: 阿部教行

ページ範囲:P.1121 - P.1125

Point

●迅速発育抗酸菌(RGM)の主な感染症は皮膚軟部組織感染症である.

●RGMは抗結核薬が無効であるため,これに適した薬剤の選択が必要である.

●薬剤感受性試験では,薬剤ごとに判定時間が異なるので注意する.

その他

便秘症の検査と診断

著者: 水上健

ページ範囲:P.1126 - P.1131

Point

●便秘とは“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”である.

●便秘の定義では毎日の排便は要求されず,困っていなければ便秘ではない.

●便秘の機能検査には大腸通過時間測定や排便造影,直腸内圧測定があるが,一般的ではない.

●便秘に対する検査は現状“便秘を起こす炎症や癌などの除外のための検査”である.

生理

—step up編—心電図検査の品質管理

著者: 森嶋良一

ページ範囲:P.1132 - P.1136

Point

●正確な心電図を記録するためには電極を正しい位置に装着すること,特に胸部誘導の装着位置が重要です.

●機器の保守管理(定期点検・日常点検・清掃)は検査の基本です.

●主治医が何を目的に心電図検査を依頼したかを理解しましょう.

●検査は常に患者ファーストで!

●技術者としてのプライドとは,どこまでも検査の品質向上に努力を続けることです.

トピックス

KANNO血液型

著者: 伊藤正一 ,   大戸斉

ページ範囲:P.1098 - P.1102

はじめに

 赤血球輸血を行う際には,まず患者の血液型(ABO,RhD)検査と不規則抗体(抗Aおよび抗B以外の赤血球抗原に対する抗体)をスクリーニングする.不規則抗体が検出されなければ,患者血液とABOおよびRhDが同型血液との交差適合試験を実施し,適合することを確認して輸血を行う.不規則抗体が検出された際には,その抗体の特異性を決定し,臨床的意義のある抗体であれば対応する抗原が陰性の血液を入手し,輸血対応する.

 2019年時点で国際輸血学会に公認されているヒト赤血球上の血液型抗原は326抗原であり,これらの抗原は36の血液型システムのいずれかに属している.輸血や妊娠によって同種抗体が産生されるが,日常検査で検出される抗体のほとんどは既知の血液型システムに属する多型性抗原に対する抗体である.抗D,抗C,抗E,抗c,抗e,抗M,抗S,抗s,抗Fya,抗Fyb,抗Jka,抗Jkb,抗Dia,抗Dib,抗Leaなどは,日本人から検出される臨床的意義のある主要な抗体である.

 一方,自己赤血球とは反応せず,同種赤血球全てと反応する高頻度抗原に対する抗体に遭遇することがあり,その被検者は高頻度抗原を欠くまれな血液型である.高頻度抗原は通常集団のなかで抗原頻度が99%以上である.今回紹介するKANNO(カノ)血液型は37種類目の血液型システムとして2019年に認定された血液型であり,この発見は,KANNO−型個体が保有した高頻度抗原に対する抗体(抗KANNO)との遭遇がきっかけであった.

マイクロサテライト不安定性検査

著者: 松下一之

ページ範囲:P.1103 - P.1107

はじめに

 マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)検査は,遺伝性腫瘍の1つであるリンチ(Lynch)症候群のスクリーニングと,免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブ(キイトルーダ®)のコンパニオン診断検査(companion diagnostics:CDx)の2つの目的で保険収載されている.本稿では,臨床検査の視点からMSI検査の意義について,上記の2つの視点で利用されている現状について簡単にまとめた.

FOCUS

臨床検査技師による検査データ解析のすすめ

著者: 直田健太郎

ページ範囲:P.1108 - P.1110

はじめに

 超高齢社会および人口減少を迎えるわが国にとって,多くの方が健康でより長く仕事を続けることができることは,働き手の確保という観点からも重要である.これを受け,さまざまな分野で働き方改革が求められているが,医療業界においてはとりわけ“医師の働き方改革”について議論され,医師の負担軽減のためさらなるチーム医療の考えを進める医療機関内のマネジメント改革の1つとして,タスク・シフティングおよびタスク・シェアリングが推進されている.

 2019年10月には厚生労働省において「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」1)も発足し,現行制度の下で可能な領域におけるタスク・シフティング,タスク・シェアリングを最大限に推進できるよう,また,多くの医療専門職種それぞれが自らの能力を生かし,より能動的に対応できる仕組みを整えるための具体的検討が行われている.

 このような状況のなか,聖隷浜松病院(以下,当院)では以前より医師に対する業務支援の一貫として,検査データ解析情報を医師に発信する取り組みを実施している.

超音波乳がん検診の可能性—J-STARTからわかったこと

著者: 鈴木昭彦

ページ範囲:P.1111 - P.1113

はじめに

 乳がん検診においてマンモグラフィは,唯一死亡率減少効果が科学的に証明されている検診方法であるが,高濃度乳房においては診断精度が低下することが弱点であることも周知の事実である.特に40歳代の女性では,それ以上の年代の女性と比較して検診での乳癌発見の感度が低下することが明らかであり1),わが国において罹患率の高いこの年代への検診精度を向上させることが喫緊の課題といえる.

 一方,超音波検査は再現性や客観性の点でマンモグラフィに劣るものの,高濃度乳房における腫瘤の検出力に優れる検査であるため,マンモグラフィの弱点を補える検査法として期待されている.このような背景のなか,がん対策のための戦略研究「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(Japan strategic anti-cancer randomized trial:J-START)」が企画され,2007年から症例の集積を始め,2016年にその成果が公表された2).本稿ではJ-STARTの結果について詳述するとともに,超音波検診の可能性について述べてみたい.

過去問deセルフチェック!

医学総論・臨床化学 腎機能検査

ページ範囲:P.1097 - P.1097

 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説

ページ範囲:P.1137 - P.1137

 腎臓は生体内の恒常性維持に欠かせない主要な臓器であり,その作用は,浸透圧の調節,血液酸塩基平衡の調節および代謝産物の排泄になります.従来より腎機能検査は,腎血漿流量,糸球体機能,尿細管機能の3つに分類されています.

 これまでの慢性腎不全(chronic renal failure)という考え方は,“慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)というより広範囲な概念として,その病期が分類されています.これは,2002年に米国腎臓財団(National Kidney Foundation:NKF)が提唱し,日本では日本腎臓学会がCKD診療ガイドラインを発表しています.CKDの病期分類は,未病から末期の腎不全に至る過程を包括する内容となっています.その定義は,特に蛋白尿,画像・病理診断などにおいて腎障害を呈する所見が明らかなとき,そして糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)が60mL/分/1.73m2未満に低下している状態を示します.

疾患と検査値の推移

二次性貧血

著者: 和田秀穂 ,   竹内麻子

ページ範囲:P.1138 - P.1144

Point

●二次性貧血は,血液・造血器疾患以外の基礎疾患により二次性に生じた貧血の総称である.

●慢性疾患ではしばしば出血などの明らかな原因を認められない小球性〜正球性の貧血がみられ,慢性疾患に伴う貧血(ACD)と呼ばれる.

●慢性腎臓病(CKD)では,腎臓におけるエリスロポエチン(EPO)産生能の低下が主な原因となり,腎性貧血を呈する.

●基礎疾患のコントロールが最善の治療である.

ワンポイントアドバイス

急性腹症の超音波検査

著者: 中村元哉

ページ範囲:P.1145 - P.1147

急性腹症における超音波検査の役割

 急性腹症とは,急激に発症した腹痛のなかで緊急手術を含む迅速な処置,治療を要する腹部疾患のことを指す.超音波検査はプライマリ診療から三次救急まで幅広く使用される画像診断であり,その疾患が緊急手術やIVR(interventional radiology)を行う必要があるのか鑑別するために必要な検査の1つである1)

 高次救急病院になるに従って,ベッドサイドで医師によって行われるFAST(focused assessment with sonography for trauma)やPOCUS(point of care ultrasound)からそのままCTなどの放射線検査が行われることが多く,系統的に高精度な検査のできるソノグラファーが携わることは少なくなってしまう.しかし,単純CTと比較すると超音波検査から得られる情報量は圧倒的に多く,放射線検査へのアクセスの敷居が高いプライマリ診療や小児診療においてはソノグラファーの力が発揮される場面は多い.

Q&A 読者質問箱

病理検査のトレーサビリティ確保はどうしていますか? CATSについて教えてください.

著者: 樋口観世子

ページ範囲:P.1148 - P.1150

Q 病理検査のトレーサビリティ確保はどうしていますか? CATSについて教えてください.

A 病理部門では,検体受付,固定,切り出し,包埋,薄切,染色,診断,報告など日常業務で多くの工程を必要としています.それらどの工程においても検体の紛失や取り違えなどのリスクが存在し,常にその対応策が求められています.その一部はダブルチェックでリスク管理することができますが,多くの過程は記録を残すことができず,従事者の記憶に頼っているのが現状です.隈病院(以下,当院)では,それを解消するためにカメラ利用下トレーサビリティシステム(camera associated traceability system:CATS)を構築し,利用しています.

臨床医からの質問に答える

ABIとCAVI/PWVの見方,解釈の仕方を教えてください.

著者: 中島里枝子

ページ範囲:P.1151 - P.1155

はじめに

 日本人の死因のうち,心疾患や脳血管系疾患は全体の約30%を占め,今後も増加することが予想される.このような重篤な疾患は1日にして成らず,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病,喫煙,身体不活動,過食などの生活習慣を背景に,症状がないまま進行した結果である.この静かに進行する動脈硬化を評価するための簡便な指標が,足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index:ABI),脈波伝播速度(pulse wave velocity:PWV),心臓足首血管指数(cardio ankle vascular index:CAVI)である.

臨床検査のピットフォール

“ビオチン”による臨床検査値への干渉

著者: 菊地良介

ページ範囲:P.1156 - P.1160

はじめに

 2019年9月に,厚生労働省から「測定系にビオチンを用いる体外診断用医薬品の添付文書の自主点検等について」(薬生安発0912第4,5,6号)が通知されたことをご存じでしょうか?

 簡単に言うと,“ビオチン”が検査結果へ影響を及ぼすことについての通知内容です.“健康ブーム”到来中のわが国において,健康食品やサプリメントの需要ニーズはとても高いといえます.一昔前はビタミンCやカルシウム補給程度のものでしたが,近年では美容と健康,万病治癒,はたまたアンチエイジング(抗加齢)など,万能薬さながらの効能を期待してサプリメントなどを摂取している方は多いのではないでしょうか.

 そのなかで近年,美容や健康維持を助ける栄養素として高濃度のビオチン(ビタミンB7)を含有するサプリメントなどが,海外直送品として市販されています.皮膚や粘膜の健康維持を助けるサプリメントとして,日本国内で販売・流通可能なビオチンサプリメントは,ビオチンの含有量が1錠当たり最大500μgと法律で定められています.しかし,海外ではビオチンの含有制限がなく,1錠当たり1,000〜5,000μgのビオチンを含んでいる錠剤も流通しており,ネット販売などで購入が可能です.その一方で効果を期待して摂りすぎると,危険性も増します.また,服用している医薬品と臨床検査原理の相互作用で,思わぬ誤診(インシデント)が発生することもあり得ます.

 免疫血清検査における測定原理の反応系にビオチンが使用されている検査試薬では,患者検体中に過剰のビオチンが存在すると,測定項目によっては低値または高値を示す可能性が指摘されました.このことにより,高濃度および多量のビオチンを摂取している患者からの採血は,一定期間経過してから実施することが望ましいと注意喚起がなされました.

 本稿では,ビオチンについて復習し,ビオチンによる臨床検査値への干渉について事例を交えて考えてみようと思います.

Laboratory Practice 〈生理〉

心機能評価の標準化を目的とした心エコーレポートシステムの開発

著者: 伊藤大佑

ページ範囲:P.1161 - P.1166

はじめに

 “標準化”とは複数の要素があるなかで仕様や構造,形式を同じものに統一することをいう.

 電源プラグ,乾電池,シートベルトなど,われわれの日常生活には標準化されたものが溢れているが,臨床検査において標準化といえば,国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)に代表される国際機関からの認定取得がまず思い浮かぶ.しかし,そのなかで生理機能検査,特にエコー検査は個人の力量が結果を大きく左右するため,標準化の方法について頭を悩ませることもある.

 そこでわれわれは,心機能評価の標準化を目指して,心エコーレポートシステムの開発に取り組んだ.本稿では,心エコーレポートシステム開発の経緯と実際のレポートについて紹介する.

連載 帰ってきた やなさん。・13

痛みに耐えて,運気を守れ!!

著者: 柳田絵美衣

ページ範囲:P.1167 - P.1167

 それは突然の出現.いつも事件は突然起こるものだ.前日までそこになかったものが,現れたのだ.手のひらに……ホクロがぁ! 間違いなく,前日はなかった! 手のひらや足の裏に現れるホクロって「メラノーマかも!?」と過剰におびえてしまうのが,医療従事者の性.

 「手のひら! 突然の出現! そして境界不明瞭ぉ〜! あああ!!」 毎日そう思いながら,半年経過.インターネットで“手のひら ホクロ”を検索すると,どうやら手のひらのホクロは手相的に良くないらしい.それを見た瞬間,「よし,取ろう! 今日,取ろう!」と思い立ち,仕事後に皮膚科クリニックへ直行した.

ラボクイズ

微生物検査

著者: 鈴木まりな

ページ範囲:P.1180 - P.1180

8月号の解答と解説

著者: 工藤慎太郎

ページ範囲:P.1181 - P.1181

インタビュー

“医療”と“介護”から振り返る高齢者のCOVID-19対応—Withコロナ時代の中長期的課題を読む

著者: 織田錬太郎 ,   関谷紀貴

ページ範囲:P.1168 - P.1177

 新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の世界的な流行に伴い,人や物,資金など医療資源がある程度限られた状況のなかでの対応が課題となっています.特に,合併症や予後の点から高リスク層である高齢者は,病院はもちろん,一般社会にも大きな影響を与える重要な意味をもちます.

 Withコロナ時代を迎えつつあるいま,COVID-19を取り巻く環境はどう変わっていくのでしょうか.緊急事態宣言下からいまに至るまでを振り返りつつ,これからに向けて何を,どう備えればよいのか,感染症の専門家であるお2人に話を伺いました.

書評

がんゲノム医療遺伝子パネル検査実践ガイド

著者: 土原一哉

ページ範囲:P.1178 - P.1178

第一線の医療者チームによるがんゲノム診療の最適の解説書

 本書を手にして,まずはその厚さに軽く驚いた.実践ガイドということでポケットにも入るサイズを勝手に想像していたが,252ページのしっかりとした装丁である.もっとも本書がこれだけのボリュームになった経緯には心当たりがある.先日「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス 第2版」が発出されたが,その分量は初版(2017年)の5ページから105ページへと一気に膨れ上がった.とりもなおさず,遺伝子パネル検査の償還や,検査システム・実施医療機関の質の担保,データセンターへの情報集積など,他国およびこれまでのわが国の医療システムでは経験しなかった体制整備が数年の間に急速かつ包括的に進んだことの反映だろう.本書の編者,執筆者の顔ぶれを見れば,上記や日本病理学会などのガイダンス作成に中心的に関与された第一線の医師・研究者,おそらくは相当にタフであったであろう検査システムの申請作業に尽力された診断薬・検査企業の面々である.がんゲノム医療,遺伝子パネル検査を取り巻く諸事情を解説するには最適のチームである.

 あらためて内容を拝見すると,予想に違わず体制整備から遺伝子パネル検査の結果解釈に必要な解析学的および臨床的な情報,一般の臨床検査ではなじみが薄いゲノム科学の用語解説,実地で運用中,さらには今後登場する検査システムの紹介と網羅されている.カラフルな図や表も多く,検査レポートの雛形もそのまま掲載されておりわかりやすい.各ページの注釈欄や,ところどころに挿入されるノートも親切である.がんゲノム医療中核拠点病院などでゲノム診療に携わっている方にとって,これだけの情報を手軽に参照できるメリットは大きいだろう.

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目次

ページ範囲:P.1090 - P.1091

医学書院ウェブサイトをご利用ください

ページ範囲:P.1150 - P.1150

「ラボクイズ」解答/読者アンケートFAX

ページ範囲:P.1179 - P.1179

あとがき・次号予告

著者: 矢冨裕

ページ範囲:P.1184 - P.1184

 新型コロナ感染症(COVID-19)の第二波に加え,猛暑の心配も加わり,皆が健康に不安を感じ,閉塞感を感じている状況下でこのあとがきを書いています.感染防止対策と経済活動を両立させるためにどうすべきかの議論が続いています.外出自粛やイベント開催の制限が少しずつ緩和され,徐々に社会経済活動が戻りつつあったところに,全国においてCOVID-19の再拡大が起きてしまいました.

 教育機関においても,感染防止対策と教育・研究活動の両立に関して議論され,試行錯誤が続いています.私たちの施設でも,講義はもちろん,実習までオンラインとなりました.会議なども原則,オンラインとなっています.本当に必要な議論だけに集中し,所用時間は短縮,出席率は向上という効果もありました.これまでのあり方を見直す重要な機会ではありましたが,やはり,同時に本来のあるべき姿も見えてきました.確かにオンライン方式はメリットもあり,今後,積極的に取り入れるべき部分もありますが,対面の活動を置き換えることは不可能であることも再確認できました.ポストコロナがいつになるかわかりませんが,プレコロナより進化したよりよい姿にしなければなりません.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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