見やすいポスターの作成と発表の進めかた
著者:
田崎雅義
ページ範囲:P.956 - P.960
はじめに
ポスター発表は,自身の研究成果を世に発信できる貴重な機会である.それと同時に,参加者と研究についてディスカッションできる絶好のチャンスでもある.いくら研究内容が優れていようと,参加者に足を止めて見てもらえなければ意味がない.学術集会によっては1,000を超えるポスターが貼られている.そのなかで,文字がびっしりと書かれたポスターをじっくり見る人がどれだけいるだろうか.数あるポスターのなかから自身のポスターの閲覧に時間を割いてもらうためには,“見やすさ”を重視したポスターを作ることが極めて大切である.
ポスター発表と口頭発表の違いは大きく2つある.1つ目は,発表時間が短いことである.そのため,ポスター発表では研究の細部まで説明しているとそれだけで発表時間がなくなってしまう.要点を絞って簡潔に説明することが望ましい.2つ目は,ポスター発表は発表者が研究内容を説明しない時間帯もあるということである.口頭発表は,研究データをスクリーンに投射し,説明を加えながら発表するが,ポスター発表の場合,発表者が不在でも参加者が閲覧できる時間がある.そのため,発表者の説明がなくとも理解してもらえるように,工夫したポスター作りを心掛ける必要がある.
本稿では,“見やすさ”を重視したポスターの作成方法について解説する.しかし,ここで説明するのはあくまでもその1例である.なぜなら,研究発表には,症例報告もあれば,病理画像を中心とした発表,グラフを多数提示する発表,アンケートを中心とした発表などさまざまなものがあり,研究内容に合わせポスターを作成することが重要なためである.ぜひとも,本稿を参考に,自身の研究内容に合った方法でポスターを作成していただきたい.そして,作成したポスターを携え,ポスター発表でしか味わえない研究発表の臨場感を楽しんでいただきたい.