icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

検査と技術49巻4号

2021年04月発行

雑誌目次

病気のはなし

梅毒

著者: 西村翔

ページ範囲:P.448 - P.454

Point

●2010年以降,国内での梅毒症例は増加している.特に異性間性交渉者での症例数増加が著しい.

●梅毒の臨床経過は非常に多彩であり,特に2期ではどのような症状/兆候が出てもよい.手掌足底に皮疹を認める場合は必ず梅毒を鑑別に入れる.

●梅毒の診断は臨床症状と血清検査に基づく.トレポネーマ抗原検査は診断的であるが定性的検査である.

●トレポネーマ抗原陽性で非トレポネーマ抗原陰性の場合は,必ず検体を希釈してプロゾーン現象ではないことを確認する.

●非トレポネーマ抗原検査は疾患活動性を反映した定量的検査である.治療目標は非トレポネーマ抗原の4倍以上の低下である.

技術講座 血液 シリーズ 悪性リンパ腫におけるフローサイトメトリー・1

B細胞性悪性リンパ腫解析

著者: 林田雅彦

ページ範囲:P.480 - P.487

Point

●細胞サイズと内部構造の複雑さを表す散乱光サイトグラムは,標本の観察にてあらかじめイメージすることができ,検体の取り違いや腫瘍細胞の見逃しの防止に役立ちます.

●軽鎖制限(LCR)によるクロナリティー解析は,CD19などの汎Bマーカーにて系統特異的に実施しますが,リンパ腫細胞が少ない場合はCD5やCD10の発現細胞,CD38/HLA-DRやCD21/CD22ヒストグラムでのB細胞分画を標的にすることで,検出率が向上します.

●成熟B細胞性リンパ腫の病型分類は,CD5とCD10の発現から3つのグループに分けることで,鑑別すべき病型を容易に絞り込めます.

●解析結果は,異常細胞の免疫形質が一目で把握できるように,カラーゲートにて散乱光サイトグラムと各ヒストグラムでの局在をハイライトさせます.

微生物

アウトブレイク時の環境培養

著者: 清祐麻紀子

ページ範囲:P.488 - P.494

Point

●施設ごとに,日常実施する環境培養と,アウトブレイク時に実施する環境培養の基準を設けておく.

●環境培養は目的を明確にし,目的に合わせた採取場所,採取法,培養条件で行う.

●環境培養は感染対策に有用であり,職員の意識付けにも活用できる.

輸血 シリーズ 輸血検査の進め方と対応・3

交差適合試験と直接抗グロブリン試験

著者: 池田瞳

ページ範囲:P.496 - P.501

Point

●直接抗グロブリン試験(DAT)とは生体内において患者赤血球に結合している免疫グロブリンや補体成分の有無を証明する検査であり,陽性となる代表的な疾患として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)などがある.

●DAT陽性患者の輸血検査においては,赤血球上や血漿(血清)中に存在する自己抗体により,血液型検査や不規則抗体検査,交差適合試験などさまざまな検査に影響を及ぼすことがある.

●抗体解離試験では,自己抗体あるいは同種抗体の特異性を確認する.また,血漿(血清)中の自己抗体の吸着により自己抗体に隠れている同種抗体の有無を確認することが重要である.

●AIHA患者では,輸血後の同種抗体産生のリスクを低減させるためにRh血液型抗原について患者と一致させた血液製剤を選択する.

一般

尿定性検査の精度管理

著者: 森田賢史

ページ範囲:P.502 - P.506

Point

●尿定性検査では,検体採取法と検体の取り扱いを適切に行うことが重要である.

●尿試験紙の取り扱いと基本操作を身につける.

●偽陽性,偽陰性の原因と確認試験法を把握し,臨床医に説明できるようにする.

●検査手技の精度だけでなく,検査前処理から検査後の結果の解釈までを含めた精度保証が重要である.

トピックス

新型コロナウイルス抗体検査

著者: 金貞姫 ,   菊地良介

ページ範囲:P.456 - P.461

はじめに

 現在,新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)のスクリーニング検査の1つとして,血液中の抗SARS-CoV-2抗体を検出する血清学的診断法(抗体検査)が注目されている.

 抗SARS-CoV-2抗体試薬は,イムノクロマト法や酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA),化学発光酵素免疫測定法(chemiluminescent enzyme immunoassay:CLEIA),化学発光免疫測定法(chemiluminescent immunoassay:CLIA),あるいは電気化学発光免疫測定法(electro chemiluminescent immunoassay:ECLIA)といったさまざまな試薬が研究用試薬として上市されているが,実際の試薬反応特性についてのエビデンスはいまだ十分ではなく,これらを実際に取り扱い,診療に用いるには十分な事前評価が必要である.本稿ではSARS-CoV2抗体検査について紹介したい.

質量分析装置による薬剤耐性菌の検出

著者: 川元康嗣 ,   小佐井康介 ,   栁原克紀

ページ範囲:P.462 - P.465

はじめに

 質量分析装置は約10分で菌種を同定することができ,その同定精度も従来法に比べて高く,微生物検査に大きなインパクトを与えてきた.また,院内感染時の菌株のタイピングやMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)検出などの耐性菌の同定にも応用され,さまざまな研究が行われてきた.しかしながら,検体の前処理の煩雑さやデータ解析に専門的な知識を要するなど標準化へ向けての問題があり,日常検査では耐性菌の検出で,質量分析装置はほとんど使われてこなかった.

 近年では質量分析装置用の簡易的なキットや解析用ソフトウエアが発売され,どこの施設でも容易に耐性菌の検出を行えるようになってきた.本稿では,それらのキットやソフトウエアの操作性や性能に加えて,今後の耐性菌検出における質量分析装置の有用性について解説する.

βラクタマーゼ阻害剤配合抗菌薬の臨床使用と今後の展開

著者: 原弘士

ページ範囲:P.466 - P.469

はじめに

 1928年にペニシリンが発見され,数年を経て臨床で使われると,すぐさま細菌は抗菌薬に対するさまざまな防御策を得てきた.そのなかのβラクタマーゼ産生に対する抗菌薬側の対策が,メチシリンやセファロスポリン系抗菌薬のようなβラクタマーゼに対する安定構造と,今回紹介するβラクタマーゼ阻害剤である.

FOCUS

ゲノム医療関連資格と臨床検査技師

著者: 服部光

ページ範囲:P.470 - P.473

はじめに

 近年,遺伝子検査分野は次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)の開発により急速に進歩を遂げた.そして2017年には2つのがん遺伝子パネル検査が保険適用され,多数の遺伝子を一度に解析し,その結果をもとに診断や患者個々人に合った治療を行う,いわゆる“ゲノム医療”の時代が幕を開けた.そのような時代背景のなかで,われわれ臨床検査技師のゲノム医療への参画は声高に叫ばれているものの,そのキャリアパスについては不明瞭なままである.そこで,臨床検査技師が取得可能なゲノム医療関連資格と,取得後の臨床現場での活躍についても紹介する.

医薬品医療機器総合機構(PMDA)での臨床検査技師の業務—MID-NET®での検体検査データの標準化を一例に

著者: 山田理紗

ページ範囲:P.474 - P.478

はじめに

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)では,独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第15条第1項第5号に基づき,医薬品などの情報収集,整理および提供ならびにそれに附帯する業務を実施している.その業務の一環として,医療情報活用部ではMID-NET®(Medical Information Database Network)の管理・運営を行っている.

 MID-NET®は国内10拠点(7大学病院および3医療機関グループの計23病院)の協力医療機関で構成される分散型のデータベースシステムおよび関連ネットワークの総称である.MID-NET®は検体検査の結果値などのデータも利用可能であることが最大の特徴であり,そのデータ規模は2020年3月末時点で513万人となっている.

 各協力医療機関によって電子カルテの仕様や運用が異なる医療情報を統合して解析するには,取り扱うデータが一定の様式に統一され,かつ標準化されている必要がある1,2).本稿では,臨床検査技師が携わるMID-NET®の検体検査データの標準化業務について紹介したい.

過去問deセルフチェック!

臨床化学検査(酵素)

ページ範囲:P.465 - P.465

 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説

ページ範囲:P.507 - P.507

 わが国の酵素活性測定法は,国際的なハーモナイゼーション時代を迎えた.そこで本稿では,日本臨床化学会(Japan Society of Clinical Chemistry:JSCC)勧告法(以下,JSCC法)の“酵素測定”を取り上げた.

 血清酵素活性の測定は,基質や緩衝液の種類,測定条件(温度,pH,補酵素の濃度など)で値が異なる.これは試薬間差や検査値の施設間差を生む原因として問題となった経緯がある.この解決策として,JSCCは1980年代に委員会を立ち上げ,血清酵素活性測定の標準化に着手した.1989年にはJSCC法が設定され,常用参照標準物質が開発され,国内の血清酵素活性測定の標準化が達成された.わが国の酵素活性測定値は全国どこでも互換性のある値を得るに至ったのである.

疾患と検査値の推移

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

著者: 田坂定智

ページ範囲:P.508 - P.514

Point

●急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は敗血症や重症肺炎などを基礎疾患とし,肺微小血管の広範な傷害による透過性亢進型の肺水腫像を呈する病態である.

●ARDSでは基礎疾患によって全身性に炎症反応が亢進した状態になり,高サイトカイン血症(サイトカインストーム)がみられる.

●ARDS患者の死亡原因としては多臓器不全が最多であり,患者管理にあたっては各臓器不全のスクリーニングとともに播種性血管内凝固症候群(DIC)のモニターが重要である.

●ARDSでは慢性期に肺の線維化が生じることが知られており,回復後のADL低下の要因となるため,KL-6値の推移に注意が必要である.

臨床検査のピットフォール

採血の体位によって検査値が変わる項目—レニン,アルドステロンを中心に

著者: 片山茂裕

ページ範囲:P.515 - P.517

レニン−アンジオテンシン−アルドステロン(RAA)系

 レニンは腎糸球体輸入細動脈壁にある傍糸球体細胞で産生される分子量37,000の蛋白分解酵素である.当初,分子量が45,000のプレプロレニンが産生され,プロレニン(不活性型レニン)となり,レニン(活性型レニン)となる.レニン−アンジオテンシン系を図11)に示すが,レニンは,レニン基質(アンジオテンシノーゲン)に働き,アンジオテンシンⅠ(AngⅠ)を産生する.さらに,アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)の作用により,アンジオテンシンⅡ(AngⅡ)が生じる.AngⅡは強力な血管収縮作用を有し,また副腎球状層に働いてアルドステロンを分泌させる.アルドステロンは鉱質コルチコイドと呼ばれるように,腎臓の遠位尿細管に働いて,カリウム(K)と水素イオン(H)との交換でナトリウム(Na)を再吸収する.したがって,この一連のカスケードはレニン−アンジオテンシン−アルドステロン(renin-angiotensin-aldosterone:RAA)系と呼ばれ,血圧の調節や水・電解質代謝に重要な役割を果たしている.

 血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)は,被検血漿のACEとアンジオテンシナーゼを阻害して,内因性レニン基質からレニンによりin vitroで新たに産生されるAngⅠ生成量を測定するものである.最近では血中の活性型レニン濃度,すなわち血漿レニン濃度(plasma renin concentration:PRC)を直接測定することもできる.

臨床医からの質問に答える

「輸血関連情報カード」を患者より提示されたときの対応についてお教えください.

著者: 齋藤光平

ページ範囲:P.518 - P.521

はじめに

 「輸血関連情報カード」(以下,情報カード)とは,輸血関連検査に影響を及ぼす可能性のある重要情報を記載し,患者に携帯してもらうためのカードフォーマットです(図1).情報カードは,2017年9月に,日本輸血・細胞治療学会より公開されました.学会のホームページからカード作成アプリがダウンロード可能1)で,Excel®がインストールされているパソコンがあればすぐに利用できます.情報カードは,不規則抗体,投薬歴,移植歴の3つの情報が記載可能です.これらの情報は,輸血開始の遅延を回避する,また安全な輸血を提供するうえで有用な情報源となります.

 本稿では,情報カードにフォーカスし,自施設に来院した患者や担当医師から輸血部に対して情報を提示された際の対応について紹介します.

ワンポイントアドバイス

乳腺症と非浸潤性乳管癌(DCIS)の見分け方

著者: 坂佳奈子

ページ範囲:P.522 - P.523

はじめに

 乳腺症は『臨床・病理 乳癌取扱い規約,第18版』1)では“いわゆる乳腺症”という名称になりましたが,内容としては変わりなく,組織学的には乳腺の増殖性変化と退行性変化とが共存する病変です.いわゆる乳腺症(以下,乳腺症)は,簡単に言えば,女性ホルモンの働きによって乳腺が肥厚や増殖を起こすのが原因で,それにより痛みなどの自覚症状が生じます.乳腺症は多彩な組織像であることから,超音波所見も多彩です.月経のあるような比較的若い年代の方に多くみられることから,乳房痛を主訴に,乳癌を心配して受診してくる若年女性によくみられます.

 一方,非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ:DCIS)とは,癌細胞が乳管内に限局し,間質への浸潤がなく,病期分類ではステージ0であり,正しく診断されれば転移,再発はない,非常に早期の乳癌です.

 DCISと乳腺症の鑑別診断は超音波検査などの画像診断では難しいことが多く,最終的には針生検などの組織診断をしなければならないことも多いのが現状です.ただし,全ての乳腺症に対して組織生検などの侵襲性の高い検査を行うことは患者の不利益となるため,可能な限りマンモグラフィや超音波などの画像診断で鑑別していくことが重要です.

Laboratory Practice 〈遺伝子〉

適切な遺伝子関連検査実施のための留意点(後編)

著者: 林邦彦

ページ範囲:P.524 - P.529

はじめに

 前編(本誌49巻2号156-161頁)では,マイクロピペットの基本的な操作と留意点について解説した.本稿では,遠心分離装置と血液検体を中心に紹介する.

Q&A 読者質問箱

尿潜血反応と尿中赤血球数が乖離した場合,どのようなことが考えられますか?

著者: 丸橋遼太

ページ範囲:P.530 - P.531

Q 尿潜血反応と尿中赤血球数が乖離した場合,どのようなことが考えられますか?

A 尿潜血反応(試験紙による定性検査)と尿中赤血球数(沈渣の鏡検)では,検査結果に乖離が生じることがあります.尿潜血反応の結果が乖離する原因に偽反応があります.また,尿中赤血球数の結果が乖離する原因には,見落としや見間違いなどが考えられます.それぞれの検査の原理や偽反応について考えていきましょう.

連載 帰ってきた やなさん。・18

これが噂の“自粛太り”か……

著者: 柳田絵美衣

ページ範囲:P.533 - P.533

 「体重と年齢には極めて疎い柳田.軽くもないし,若くもないけど,それらの数値を“ひ・み・つ♥”にするほどの女子的魅力が自分にあるとは思えないので,恥じらいもなくオープンにしてきた.しかし……問題が起こったのだ.2年前に奮発して作ったオーダースーツが入らんのだっ!! おいおい,噓だろ…….そういえば,店員さんに「いまのサイズにピッタリで作っているので,絶対に太らないでくださいね」と強く強く言われていた.いや,本人は太ったつもりも,自覚もなかったのよ.だが,スーツがパッツパツであるこの無様な姿こそが現実っ!! いやだぁ,いやだぁぁぁ.(←しばらく鏡の前で茫然と立ち尽くした)

 ようやく,自分の現状に気づいた柳田.取りあえず考えた.「やみくもにダイエットしても効率が悪い!」(←いつも効率を一番に考えてしまう性)ということで,“遺伝子検査ぁ〜!”(なんでも遺伝子か細胞に頼ってしまうところが職業病よね)自分の体質を知り,何を低減させるのが一番良いのかを把握する! これしかない! そこで柳田は,肥満関連遺伝子検査キットを購入.ま,まぁ,普段の仕事で絡むゲノム解析医は「体質検査キットなんて,占いみたいなもんだよ」と言っていたが.しかし……いいの! 知りたいの!

ラボクイズ

B-NHL

著者: 林田雅彦

ページ範囲:P.536 - P.536

2月号の解答と解説

著者: 松本直樹

ページ範囲:P.537 - P.537

書評

レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

著者: 岩田健太郎

ページ範囲:P.495 - P.495

全ての医療者のために

 本書の第3版が出たときも書評を書かせていただいたが(2015年),力を込めすぎついつい長文になってしまった(https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/84707#tab4).今回は「800〜1400字で」,と編集部から注文がついている.宴席でスピーチが長すぎるおじさんがあらかじめくぎを刺されている様相だが,その「宴席」もいずれ死語になるやもしれぬ今日このごろだ.

 というわけで,今回は短く書かせていただく.

—医療者のための—成功するメンタリングガイド

著者: 志水太郎

ページ範囲:P.534 - P.534

全医療人必読!徳田安春&オール沖縄Presents,メンタリングの金字塔

 まず,本書評を書かせていただくにあたって触れるべきこと.それは何をかくそう,評者(私)の最強メンターは本書の監訳者,徳田安春先生であるということである.徳田先生はどのようなメンターであったか? それを語るには,本書で個人的に最重要章と感じる,Chapter 3をお読みいただきたい.同章の骨格となるポイント,すなわち「メンターでなく,メンティー自身の成長に有益なタスクを与えよ」「動き続けよ」「難しい対話に備えよ」「いつでもつながれるようにする」(詳細は本書をお読みください)などは,まさに往年の徳田(メンター)—志水(メンティー)の関係そのものを言語化したものである.徳田先生と出会ったのは2005年11月,東京都立墨東病院での徳田先生の講演で,自分はそのシャープかつ俯瞰的な指導に魅了され,徳田先生の行く先々に追随し,オンライン・オフライン問わず,バスの中で,飛行機の隣で,新幹線の往復で,フレッシュひたちの中で,貴重な教えをスポンジのように学んだ.宝物のような時間だった.それは自分が米国に滞在した中でも後も継続したのである.「ジャーナルではレビューとエディトリアルを毎週フォローしてください」「私が診ます,といえば丸く収まるのです」「スピードと集中がカギです」など枚挙にいとまがないが,全てメンティーの自分がメンターとして拡散すべき“グレート・アントニオ”徳田の教えである.

 いきなりChapter 3にフォーカスしたが,ここで本書の構成を紹介したい.本書は全10chapterからなり,メンターへ(Chapter 1-3),メンティーへ(Chapter 4-7),そしてメンター&メンティーへ(Chapter 8-10),という3部構成に分けられている(さらに巻末に約50ページにわたるメンタリングの参考文献の数々の紹介もうれしい).とはいえ,メンターはメンティーの章を,またメンティーはメンターの章を読むことで,相手の立場をおもんぱかることができる.その結果,全ての読者は本書の全ページから重要な学びを得られるだろう.

INFORMATION

近畿心血管治療ジョイントライブ(KCJL)2021

ページ範囲:P.487 - P.487

--------------------

目次

ページ範囲:P.446 - P.447

あとがき・次号予告

著者: 矢冨裕

ページ範囲:P.540 - P.540

 現在,2月の上旬に,このあとがきを書かせていただいております.ほぼ半年に1回執筆の順番が回ってきますが,私は,前々回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波,前回はその第二波,そして,今回はその第三波に加え,変異株の出現が心配される状況下で,それぞれ執筆させていただくことになりました.本当にこの1年,世界中がCOVID-19に翻弄されたといえます.

 あらためて,新興感染症の恐ろしさ,これを制御することの難しさが示されたわけですが,それでも,科学的データに基づき,理性的な行動を実践することにより,この感染症をコントロールしうることもわかってきたと思います.そして,この“科学”的データを出すうえで,臨床検査の結果が何より重要であることも広く理解されることとなりました.ぜひ,読者の皆さまにおかれましては,臨床検査の重要性を再認識していただき,その立派な担い手を目指していただければと思います(当たり前のことで申し訳ありません).

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?