リウマチ因子検出のためのラテックス凝集反応
著者:
鈴田達男
,
村沢清栄
,
岩倉伸子
,
菅原ひで
,
清水彩子
,
秋山恒子
,
山崎優子
ページ範囲:P.17 - P.20
1.RAテストの歴史
慢性関節リウマチ患者血清が抗体で感作された血球を凝集することは,1939年にWaalerによって見いだされ,Roseによって臨床検査法としての基礎が築かれた.これがRose反応であるが,この方法はヒト血清中に含まれる正常異種凝集素による妨害作用を完全に除外できない欠点があった.その後HellerらはRoseの方法に改良を加え,あらかじめ正常凝集素を吸収することにより,直接感作血球の凝集価でリウマチ因子を表現する方法を発表した.これがHellerの変法である.また彼はRA患者血清を希釈するのに生理食塩水の代わりに正常ヒト血清を用いたところ,凝集が著しく抑制されたことから,感作血球の凝集を起こさせる因子はウサギγグロブリンと反応するのみならず,ヒトのγグロブリンとも親和性を持っていることを,ヒトγグロブリン(IgG)を感作したタンニン酸処理血球の凝集反応によって明らかにした.
この発見によって,これまで凝集促進因子と呼ばれていたものは,実はヒトγグロブリンに対する自己抗体であることが分かり,リウマチ因子(rheumatoid factor)と名づけられた.そうなると必ずしも抗体で感作しなくとも,不活性の粒子を担体として用いることもできることが分かり,ベントナイト凝集反応がBozicevichにより考案された.その後,SingerとPlotzは抗原の担体として合成樹脂粒子を用いることを思いつき,最初,ポリビニルトルエンラテックスを用いたが,後にポリスチレンラテックスのほうが優れていることを報告した.また実施方法も当初は試験管法であったが,後にスライド法が開発され,現在世界中で最も広く用いられるものとなった2).