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雑誌目次

雑誌文献

検査と技術50巻8号

2022年08月発行

雑誌目次

病気のはなし

認知症

著者: 渋川茉莉 ,   狩野修

ページ範囲:P.774 - P.782

Point

●認知症とは正常に発達した知的機能が後天的な障害によって持続性に低下し,日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態である.

●認知症の症状は中核症状としての記憶障害,失語,失行,失認,遂行機能障害などの認知機能障害と,認知症の行動・心理症状である周辺症状(BPSD)に分けられる.

●認知症の代表疾患としてアルツハイマー型認知症(AD),血管性認知症(VaD),レヴィ小体型認知症(DLB),前頭側頭葉変性症(FTLD)がある.

●加齢による認知機能の低下,内科疾患に伴う認知機能低下,うつ状態による仮性認知症,せん妄や精神疾患などは認知症と間違えられやすく,認知症の診断には,病歴・診察所見に複数の臨床検査を組み合わせることが重要である.

技術講座 血液

急性白血病の診療におけるフローサイトメトリー報告書の書き方—形態所見との関連

著者: 池本敏行

ページ範囲:P.808 - P.814

Point

●フローサイトメトリー(FCM)による造血器腫瘍細胞の免疫表現型解析では,解析対象の細胞を的確にゲーティング(囲い込み)できていることが重要である.

●ゲーティングは,腫瘍細胞の形態学的特徴を把握したうえで行う必要があり,フローサイトメトリー解析者は事前に腫瘍細胞の形態所見の情報を取得しておく必要がある.

●検索すべきマーカーは病型によって異なるので,形態所見による病型の推測が効率的な検査の実施につながる.

●造血器腫瘍細胞の免疫表現型解析の結果は診断および治療法の選択に直結するため,フローサイトメトリー報告書は,治療を担当する医師が十分に理解できる内容を含んでいる必要がある.

シリーズ 血算データを読む基本・2

白血球

著者: 岡田定

ページ範囲:P.802 - P.807

Point

●臨床検査技師の皆さんには,血算を早く正確に医師に報告するだけでなく,これからは医師の診断を援助することも望まれます.

●白血球数(WBC)の増加や減少をみたら,白血球分画に注目し,以前の血算と比べます.

●急性の好中球(NE)優位の白血球増加は,ほとんどが感染症や炎症が原因です.

●高度の白血球増加で貧血と血小板減少をみたら,急性白血病を疑います.

●慢性の白血球増加で骨髄球(MYELO)と後骨髄球(META)の出現・好塩基球(BASO)の増加をみたら,慢性骨髄性白血病(CML)を見逃さないことです.

●慢性の白血球増加で白血球分画正常なら,喫煙による反応性白血球増加症を疑います.

遺伝子

核酸の抽出とその評価

著者: 村上晶子

ページ範囲:P.816 - P.821

Point

●核酸抽出は基礎的な技術であり,現在さまざまな抽出試薬や機器が利用され,比較的容易に核酸を抽出できるようになっています.

●基本的な原理や方法,核酸抽出に使用される試薬の特徴を理解して使用することが核酸の品質にもかかわってきます.

●核酸の品質は解析結果に重大な影響を及ぼすため,品質を正しく評価し高品質な核酸で解析することが重要です.

生理

腎動脈エコー—観察のコツと評価法

著者: 藤崎純

ページ範囲:P.822 - P.830

Point

●腎動脈エコーを始めるには,超音波装置の設定が重要になります.腎動脈エコー専用のプリセットを作成し,組み込むことをお勧めします.

●腎動脈は細い血管です.非常に繊細なプローブ走査(チルティングスキャン)を身につけることがコツになります.

●粥状硬化(動脈硬化)性腎動脈狭窄(ARAS)と線維筋性異形成(FMD)で治療戦略が大きく異なるため,鑑別が重要です.

●腎動脈エコーは,ラーニングカーブという手技的問題はありますが,少しずつ経験を積めば感度・特異度ともに高い検査になります.

トピックス

新型コロナウイルスワクチンを理解する

著者: 林智哉 ,   石井健

ページ範囲:P.784 - P.788

はじめに

 新型コロナウイルスに対するワクチンは,パンデミック収束のためのゲームチェンジャーとして期待されている.一方,オミクロン株などの変異株の出現により,依然として感染収束の目途が立たず,ブースター接種や変異株に対応したワクチンの開発に注目が集まっている.そこで本稿では,新型コロナウイルスワクチンについて概説するとともに,今後のワクチンを考えるうえでのトピックを,2022年5月時点における知見をもとに紹介する.

バイオリポジトリ技術管理士(BiTA)認定試験

著者: 池田純子

ページ範囲:P.790 - P.793

生体試料の管理,保管

■バイオバンク

 バイオバンク・ジャパン(2003年開始)や東北メディカル・メガバンク機構(2012年開始)に代表されるように,わが国においても生命科学分野の研究基盤としてのバイオバンクが広く認識されるところとなった.これらのバイオバンクに集積されている生体試料やデータは広く研究者に利用されるところとなり,共同研究を促進し論文発表などの研究成果につながっている.国立がん研究センターなどの国立医療研究センター6施設によるナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(2011年開始)も国立系の施設が一丸となって早期から活動を開始している.これら3大メガバンクといわれるバンクを中心に,現在では国内各地の大学や医療機関にもバイオバンクを設置したり,あるいはバイオバンキング事業を行ったりする動きが活発になっている.

FOCUS

SARS-CoV-2遺伝子検査—Internal controlの重要性

著者: 松田和之

ページ範囲:P.794 - P.796

はじめに

 現在,体外診断用医薬品としてさまざまな新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)遺伝子検査試薬1)がある.SARS-CoV-2遺伝子検査の普及に伴い,その精度管理の必要性が認識されている2,3).遺伝子検査の精度管理では,前処理や核酸抽出工程,逆転写反応,増幅〔リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)〕工程が重要な精度管理対象となる.多くのSARS-CoV-2遺伝子検査試薬には,“internal control”と呼ばれるコントロールの検出系が組み込まれている.本稿では,internal controlの説明とその重要性について述べる(以下に記載するように,internal controlに対する日本語表記として“内部コントロール”や“内在性コントロール”を使用している試薬キットがあるため,本稿では,internal controlの英語表記を使用する).

肝硬変診療ガイドライン2020—臨床検査を中心に

著者: 竹田惣一 ,   鍛治孝祐 ,   吉治仁志

ページ範囲:P.798 - P.800

はじめに

 2020年に最新のエビデンスを網羅した「肝硬変診療ガイドライン2020改訂第3版」1)が発刊された.本稿では,肝硬変診断に有用となる臨床検査項目を中心に,改訂された「肝硬変診療ガイドライン2020」について概説する.

過去問deセルフチェック!

微生物学 遺伝形質の伝達

ページ範囲:P.797 - P.797

 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説

ページ範囲:P.801 - P.801

 遺伝形質の伝達に関する問題はほぼ毎年のように出題されている.遺伝子の伝達を担う因子としてプラスミドやバクテリオファージ,伝達様式として形質転換,形質導入,接合が重要なキーワードとなるので整理しておきたい.

 染色体の遺伝情報を担っているDNAは相補的な2本の鎖がらせん状に連なった,いわゆる二重らせん構造である.おのおのの鎖はヌクレオチドと呼ばれる塩基・糖・リン酸の3つの成分で構成されている.塩基にはアデニン(A),チミン(T),グアニン(G),シトシン(C)の4種類があり,AはTと,GはCとペアを組んだ構造で存在する.

疾患と検査値の推移

卵巣癌—新規薬剤での治療と臨床経過を中心に

著者: 足立克之 ,   梁善光

ページ範囲:P.832 - P.840

Point

●卵巣がんはわが国では年間約1〜1.3万人が罹患し,約4,000〜5,000人が亡くなっている.約半数が進行がんで見つかり,手術だけで根治は難しく,手術に加えて化学療法が治療として重要である.

●近年,基礎研究の発展に伴い症例ごとの遺伝子異常の解析など検査も進歩し,さらに新規化学療法の開発が続いている.しかし,それに伴い副作用の発現についても変化が出ている.

●新規化学療法の副作用には従来の化学療法とは異なるものがあるため,今回紹介するポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬についてもその概要をよく理解し,ニラパリブについては特に貧血や血小板減少などに注意が必要である.

臨床検査のピットフォール

見逃してはいけない!FDP値よりもD-dimer値が高くなる逆転乖離の現象—非特異反応による逆転乖離はメーカー各社の測定試薬によって異なる

著者: 叶内和範 ,   佐藤牧子 ,   田村圭祐 ,   森兼啓太

ページ範囲:P.842 - P.847

フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)とD-dimerの測定方法

 フィブリノゲン分解産物やフィブリン・フィブリノゲン分解産物(fibrin and fibrinogen degradation products:FDP)とD-ダイマー(D-dimer)測定は凝固線溶亢進状態を反映する検査法である.FDPはフィブリノゲンを主体蛋白とするプラスミンによる分解産物の総称であり,一次線溶と二次線溶の動態を反映している.そして,FDPは同一構造を兼ね備え,分子構造が異なる類似性のある混合分画の総称で,多様性に富んだ混合物である1).この分解産物を抗原決定基(エピトープ)として認識する複数のモノクローナル抗体を試薬に用いてFDP値として測定している.

 D-dimerは,フィブリノゲンがトロンビンにより分解されてフィブリンとなると,あるフィブリン1分子由来のEドメインと別のフィブリン2分子のDドメインが結合してDD/E構造を形成し,さらに分子内のγ鎖同士またα鎖同士の架橋結合が起こる.この隣り合うフィブリン分子のDドメイン2つのγ鎖が端々結合してできたダイマーの新規エピトープを認識するモノクローナル抗体を用いて,この架橋化フィブリン断片分画を検出してD-dimerとして測定している2).FDPはフィブリノゲンの早期の一次線溶亢進の動態を示しているといわれている3).一方で,D-dimerはフィブリン形成の根拠となる二次線溶の動態を示している.

Q&A 読者質問箱

分子病理での“腫瘍細胞含有割合”の意義とカウント方法について教えてください.

著者: 柳田絵美衣

ページ範囲:P.848 - P.850

Q 分子病理での“腫瘍細胞含有割合”の意義とカウント方法について教えてください.

A がん遺伝子パネル検査は,次世代シーケンサー(next generation sequencer:NGS)を用いてがん発生の原因となっている遺伝子の変異をみつけることが目的です.NGSによる解析では,ターゲットとする遺伝子の核酸の塩基配列を数百〜数千回読み込み,そのなかに変異をもつ遺伝子が何%存在するかをバリアントアレル頻度(variant allele frequency:VAF)という数値で示します.

ワンポイントアドバイス

糸状菌の起因菌と環境由来菌とを区別するポイント

著者: 亀井克彦

ページ範囲:P.851 - P.853

はじめに

 大気中をはじめとして,環境内には糸状菌が多数存在していることから,混入(contamination)のリスクは大きい.このため,臨床検体から糸状菌が分離されたときには,常に環境由来菌(以下,環境菌)なのか,本来の起因菌(以下,起因菌)なのかを鑑別する必要がある.さらに,傷んだ気道では真菌による定着がしばしばみられるため,起因菌vs.環境菌という区別だけではなく,気道に定着しているだけという“中間型”のようなものもある.鑑別が難しい場合もあるが,以下のような方法がヒントになる.

臨床医からの質問に答える

手術が長引き,病理検体の受付時間に間に合わない場合,摘出した組織と腹水はどうすればよいですか?

著者: 川畑真子 ,   小倉瑛茄 ,   小山芳徳 ,   大塚喜人

ページ範囲:P.854 - P.858

はじめに

 臨床検査のなかで緊急を要する項目は,電解質,血算,血液ガス,クレアチニンやアミラーゼなどの臨床化学検査,輸血検査,グラム(Gram)染色など,手術を含む緊急の治療を必要とする項目に限られる.そのため,検査結果の報告までに時間を要する検査は緊急検査に適していない.この意味では,病理検査全体が緊急検査の適応とは言い難く,夜間や通常勤務時間外に提出された病理検体のほとんどは翌日への引き継ぎ対象となる.

 病理検査を対象とした検体としては,生検検体や摘出された臓器などのホルマリン固定された組織診用検体と,胸水,腹水,尿,髄液などの細胞診用検体の2つに大きく分けられ,細胞診用検体は,一般検査や生化学検査,微生物検査などの検体と一緒に時間を問わず臨床検査室に提出されることがある.そのため,検体検査部門へ検体の取り扱いについて問い合わせがくることがあり,病理検査部門以外の臨床検査技師でも検体の保存方法を習熟しておく必要がある.一般的に組織診用検体については検体摘出後速やかにホルマリン固定を行えば室温保存でよいとされている.しかし,細胞診用検体の保存条件については文献ごとにさまざまな記述があり,特に体腔液に関しては,抗凝固剤添加の有無など一律化されていないのが現状である.

 そこで本稿では,細胞診検査に提出された穿刺体腔液を中心に,保存条件の不備により起こりうる形態学的・遺伝子学的検査への影響も交えながら,適切な保存条件に関して解説していく.

連載 帰ってきた やなさん。・32

日本医学検査学会 in Osaka!

著者: 柳田絵美衣

ページ範囲:P.860 - P.860

 「やなさん,大阪の学会に行く?」と,同僚からの質問.「え? いいや.私が発表するセッションはオンライン公開だし.もう録音したPowerPointのデータ提出も終わってる」と返答した.事務局から送られてきた書類に「オンラインで公開する録音データを提出してください」と記載されており,すでに指定された提出締切日までにデータ提出を完了させ,その日まで「終わった!」という達成感に浸っていた…….が,同僚が「やなさんのセッション,現地開催じゃない?」と信じられない言葉を返してきた.「え? だって,録音データを提出し……」と,書類をもう一度読み直すと,「現地開催+オンライン公開」の文字.う,うそやん……(←この時点で,学会開催1週間前).この会話がなければ,柳田はセッションを無断欠席していただろう…….間違いなく.「同僚よ,もう君の住む方向に足を向けて寝ることは決してしない」と心に固く誓った.セッションの日時を確認すると……,朝一番早いセッション! まさかの前泊必須だとぉ!?(叫).急いで宿泊先を探すが,学会のウェブサイトでは「宿泊先の申し込み受付は終了しました」のクールなお言葉.まぁ,そうだよね,1週間前だもんね…….そう呟きながら,パソコンの前で硬直.必死のパッチ(←死語)状態で,柳田の検索テクがいつも以上に発揮され,無事に前泊することができた.

 朝8時から打ち合わせ.「おはよ〜さん! 久しぶりやなぁ! 一緒に写真撮って〜や! あ,串カツ食べに行きたいなぁ!」 朝からベタベタの大阪弁が心地よい(いつも思うけど,柳田を可愛がってくださる大阪のダンディー紳士技師の皆さんは,なぜ朝からこんなに元気なんだろうか).

ラボクイズ

ABI検査

著者: 船水康陽

ページ範囲:P.861 - P.861

7月号の解答と解説

著者: 黒川正美

ページ範囲:P.862 - P.862

書評

これで解決! みんなの臨床研究・論文作成

著者: 野田光彦

ページ範囲:P.831 - P.831

臨床研究と論文化,険しい道程の傍らに置くべき一冊

 『これで解決! みんなの臨床研究・論文作成』は,臨床研究を立ち上げ,論文化へと進めるにあたって,間違いなく必携の一冊である.著者の辻本哲郎先生は,評者が国立国際医療研究センターに在職中に,初期研修医として内科研修を開始され,その後,糖尿病・代謝・内分泌科の後期研修医,さらにクリニカル・フェロー,そして医員へと,同センターにおいて研鑽の道を歩まれた.この間,辻本氏は糖尿病,内分泌,高血圧,総合内科といった多くの専門医(指導医も)を取得されるとともに,その一方で臨床研究を強く志し,日々,ことあるごとに彼の相談を受けたことが記憶に新しい.若い人々とも大いに盛り上がった,評者にとっても懐かしい往時の光景が,まざまざと脳裏によみがえる.その後,氏は虎の門病院分院の糖尿病内分泌科の医長へと転ぜられ,忙しい日常を過ごしているものと拝察している.評者のもとから巣立ったあとも,梶尾 裕 国立国際医療研究センター病院副院長,森 保道 虎の門病院内分泌代謝科部長のもとで,臨床,そして研究と,ワイドレンジに積極的に活動されている.今後のますますの活躍を期待したい.

 臨床研究と一口に言っても,その過程は平坦なものではない.評者自身,多くの臨床研究を手がけ,また,その論文化にも携わった.道中に立ちはだかるさまざまな隘路は熟知しているつもりである.そしてとりわけ,初めてその道程をたどる者にとっての,途上にある非常に高い障壁についても,誰もが容易に想像しうると感ずるところである.

ウォームアップ微生物学

著者: 錫谷達夫

ページ範囲:P.841 - P.841

微生物学を理解するためのツボが丁寧に書かれた良書

 日頃,一部の医学生や医師から「微生物学は覚えることばかりでキライ!」といわれる.さまざまな微生物がオムニバス形式で登場する微生物学の全体像や考え方,そして何より微生物対ヒトの生存をかけた戦いの面白さをどのように伝えればよいのか,悩みは尽きない.その1つの対策として,短時間で一気に読み終えられる看護学校向けの微生物学の教科書を1〜2度通読してから講義を受けるよう医学生には勧めている.そうすることによって個々の微生物間の共通点や特異点が明確となり,体系立てて微生物学が理解できるようになるからである.

 この目的に合う本を,教科書の定番『標準微生物学』の編集者であった中込治博士が出版されたことを知り,早速,手に取った.本の帯には「分厚い教科書を読む前に!」という見出しと,(1)本格的な病原微生物学の講義を受ける前の医療系学生,(2)細菌やウイルスのきちんとした知識を身につけたい一般の方,(3)微生物や免疫細胞たちを愛してやまない方におススメする,とある.まさに私が探し求めていた微生物学の副読本ではないか! 早速1日で一気に読み通した.

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目次

ページ範囲:P.772 - P.773

『臨床検査』8月号のお知らせ

ページ範囲:P.771 - P.771

あとがき・次号予告

著者: 矢冨裕

ページ範囲:P.866 - P.866

 診療における臨床検査の重要性,そして,それを支える臨床検査技師の役割に関してはあらためて申し上げる必要はないと思いますが,臨床現場における臨床検査技師の活躍の場は着実に広がっています.働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進の一環として,新たに10行為が臨床検査技師の業務として追加となったことをご存じの方も多いと思います.そして,その知識や技術の習得を目的とする厚生労働大臣指定の講習会が,各種専門学会などの協力のもと,進められています.また,現在のわが国の医療上の喫緊の課題となっています新型コロナウイルス感染症への対応においても,その診断のための臨床検査の実施はもちろんのこと,検査のための鼻腔・咽頭拭い液の検体採取,さらには,ワクチン接種など,やはり,臨床検査技師の幅広い活躍が求められています.

 このような状況を踏まえ,診療現場における臨床検査技師の役割を再認識すると同時に,今後のあるべき姿を考えることは重要であり,本誌でも,その判断材料としていただけるような記事を,今後も適宜,掲載できるようにしていきたいと考えています.ただ,その前提として,臨床検査はもちろんのこと,幅広い医学・医療の勉学が必要であることは申し上げるまでもありません.

基本情報

検査と技術

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1375

印刷版ISSN 0301-2611

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