連載 やなさん。NY留学記・5
本場の野球を観戦する
著者:
柳田絵美衣
ページ範囲:P.153 - P.153
ニューヨークにはメッツとヤンキースの2リーグがあり,職場の同僚はたまに野球観戦に行くらしく,ある日「野球を観に行きませんか?」と声をかけてくれた.メッツの試合で年に1回,“Japanese Heritage Night”という日本人優遇日があり,誘ってくれた.毎年,対戦チームはランダムなのだが,なんとこの時はロサンゼルス エンゼルスとの試合! そう,あの世界の大谷翔平選手がいるチームだ.かなりラッキーだと喜んでいた…….しかし,試合2日前,大谷選手は肘の不調で降板.「ニューヨークには来ないかもね」と,同僚と残念がっていた.
試合当日,球場に向かう同僚が急いでいる.よく分からず後を着いていくと……何やら小さなカード,そしてJapanese Heritage Night日本人2,000名限定のオリジナル帽子をゲット!メッツのホーム球場はクイーンズ区にあるシティ・フィールド.初の野球場に感動! なんという広さと美しさとド派手さ.観客みんな,大きなハンバーガーやホットドッグ,ポテトやビールを手に,今から始まる試合をワクワクしながら待っている.柳田も限定帽子をしっかりかぶり(メッツファンではないのですが),ホットドッグを頬張りながらワクワクが止まらなかった.「エミイさん,大谷選手があそこにいます!」 大きな双眼鏡をのぞきながら,同僚が教えてくれる.「い,いるぅ〜!」そう,バッターとして出場だ! そして,メッツの投手も日本人の千賀滉大選手だ.投手の入場,大きな画面に千賀選手の背中が映り会場が湧く.試合が始まり,メッツファンは大歓声.しかし,ある選手がバッターボックスに入ると一変! すべての観客が湧く.大谷選手だ.メッツファンも立ち上がり,カメラを構える.敵チームのファンまでも魅了される選手なのだと肌で感じた.そして試合の空気も一気に変わり,どちらのチームもヒットが続く.かなりの接戦だった.選手も観客も熱くなって,球場は大盛り上がり.打つか打たれるか!? 打った球は取られるか!?……ハラハラドキドキの3時間半だった.球場を出る際に,最初にもらった小さなカードをスタッフに渡すと,千賀選手のサイン入りボールがもらえた!