私の学校
川崎医療短期大学臨床検査科—"厳しさ"と"独特のカリキュラム"
著者:
三嶋啓子
ページ範囲:P.913 - P.913
私たちの学校は,創立6年目を迎えたばかりのまだ新しいものですが,看護科,臨床検査科,放射線科及び医療秘書科と全国でもめずらしい総合パラメディカル短期大学と言えます.その中にあって,臨床検査科は,学年定員50名の,全く家族的な雰囲気を持つ学科です.教師と学生,先輩と後輩が強烈で密な関係にあり,"一体"という言葉が最もふさわしい科と申せましょう.
とりわけ,臨床検査科の特色はと問われれば,何はともあれ,"厳しさ"と"独特のカリキュラム"と答えるべきでしょう.入学式の翌日から始まる基礎実習,これには青春を謳歌しようと意気込んで入学した学生のほとんどが度胆を抜かれます.清掃,洗浄,ガラス細工,天秤,採量とまず臨床検査技師に必要な"基本的な実習"と"躾"を朝8時30分から夕方遅くまで徹底してやらされます.続いて顕微鏡,ラジオ組立,木工,測定機器の修理等々です.授業は入学後3週目から始められますが,これもまた,解剖,生理,病理,臨床化学といきなり専門教科です.初めて聞く専門用語,次々と出てくる検査方法,病気の話には,ノンビリ屋はもちろん,相当優秀な頭脳の持主でも,2〜3か月で顔が蒼々となるまでしぼられます.こうして毎日の"しごき"に耐えていると,いつの間にか"臨床検査技師の卵だ"という自覚ができるから不思議です.一年次において,教養科目はむろん専門科目のほとんどは終講となり,併せて臨床基礎実習をさせられます.これは,互いに被検者となりあって,検査のまねごとをするのです.こうして患者さんが受ける検査の苦痛を身をもって感じさせられる実習です.この苦痛を生かすがごとく,二年次には,3〜4名の小グループに分かれ,9か月間,実際に付属病院の中央検査部において,患者または検体を相手に臨床実習を行います.初めて,患者さんを相手に検査したときは,いかに一年生のとき,必死の思いで採血や検査を友達の腕をかりて稽古をしたとはいえ,手はブルブル,足はガタガタと震えます.反面,患者さんから"お上手ね"と言われたときは背部に汗を覚えながらも,とっさに"ありがとうございます"の言葉とともに,一瞬,この道を選んで良かったと何とも言いようのない喜びがこみ上げてきます.こうして臨床実習をしていると,先生方からよく言われる臨床検査技師としてのモットーであるスピード,正確,科学,親切を肌で感じ,なおいっそう努力せずにはいられない気持ちになります.