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『医学常識』
補体結合反応
著者: 豊川行平1
所属機関: 1東京大学衛生学
ページ範囲:P.109 - P.112
文献購入ページに移動 梅毒血清反応を始め各種の疾病の診断や抗原あるいは抗体の鑑別などに広く用いられている補体結合反応は,周知のように,補体結合を介して血球熔血素系を指示薬として抗原抗体反応を眼に見える反応として検出するものである。この際用いる補体については,補体結合反応の創始者の一人と考えられているBordetは,これは新鮮血清の示す一種の不安定なコロイド状態であつて,感作血球あるいは抗原抗体結合物によつてその状態がかえられるものと考えた。これに対し,補体はある特殊な物質であるという考えもあつたが,これを単離することができないため,そのいずれかについては不明の状態であつた。1941年先般来朝したHeidelbergerは面白い方法でそれが実在する化学物質であることを証明したのである。彼等は肺炎球菌III型の多糖類,そのウサギ抗体,モルモツト非働化血清を加えて起した沈降反応の沈降物と,モルモツト新鮮血清を加えて起した沈降物とについてN量を測定し,後者においてN量の増加のあることを認めたのである。
補体については現在単一の血清成分とは考えず,これは少くとも4成分からできているとされている。通常その4成分をC1′,C2′,C3′,C4′というふうに表現している。C1′,C2′は既に1907年にFerrataによつて発見されたもので,彼はモルモツト血清を水に対して透析して不溶性と可溶性の部分に分けた。
補体については現在単一の血清成分とは考えず,これは少くとも4成分からできているとされている。通常その4成分をC1′,C2′,C3′,C4′というふうに表現している。C1′,C2′は既に1907年にFerrataによつて発見されたもので,彼はモルモツト血清を水に対して透析して不溶性と可溶性の部分に分けた。
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