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文献詳細

雑誌文献

臨床検査1巻3号

1957年06月発行

文献概要

高級技術講義

化学天秤

著者: 三井哲夫1

所属機関: 1京都大学農学部

ページ範囲:P.135 - P.139

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1.質量と体積の単位
 1799 フランスにおいてメートル法が制定せられるに当って,まず長さの原器が設定せられ,この原器によって4℃における水1dm3の質量を1kgとすることに定め,これに等しい質量を有すべき原器が製作されていた。その後メートル法を国際的な計量単位にしようとするうごきにともなって,1889年の国際会議におけるメートル条約締結に先立って,この旧原器と同質量を有すべき原器43個が製作され,その内K-IIIという番号のものが上記の旧器と最も近い質量を有していたので,これを国際キログラム原器と定めた。このようにして,長さの原器に基いて質量の原器が定められたのであるが,その当時,計測の技術は,長さの測定よりも,質量測定の方がはるかに精度においてすぐれていた。その後長さ測定の技術的な進歩にともなつて,今度は逆にキログラム原器を基にして1kg質量の水の体積が精密に測定された。その結果1kgの水の4℃における体積,すなわち1lは今日では1000.027cm3であることが実測によつて決定されるに至つた。換言すれば水の密度は4℃において0.999973g/cm3である。われわれは分析などにおいて,質量に関連して体積を取扱う場合が多いから,cc単位よりもmlを用いる方が合理的であるのはこの理由によるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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