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文献詳細

雑誌文献

臨床検査1巻4号

1957年07月発行

文献概要

『医学常識』

発熱

著者: 豊川行平1

所属機関: 1東京大学衛生学

ページ範囲:P.240 - P.242

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 われわれの体温は外界の温度がどうあろうと常に一定に保たれている。恒温といわれるゆえんであるが,よくみると,年齢によつても,人によつても,その値は少しずつちがつている。また1日中でも変動している。午前2〜3時が最低で,午後2〜3時が最高を示す場合が多い。つまり夜間は低く,昼間は高いわけだが,この際睡眠をとると,体温はさらに低くなる。1日中に体温の変動があるといつても,その差は1℃を越すことはない。また,体温は季節によつてもちがい,だいたい外界の気温の高い夏季に高く,冬季に低くなる傾向がある。
 われわれの体温といつても,その測定場所でもちがつた値を示すもので,口腔内や直腸内で測定した値は腋下で測定した値よりやや高く,直腸内は腋下より0.5〜1°Cぐらい高い。動物などで測定すると,肝臓内ではさらに高いことがわかる。しかし,われわれは便宜上体温は腋下か口腔内で測定している。腋下で測定する場合は,汗をよく拭いてから測定しないと,低い値をうることがある。腋下で測つた体温は36.5〜37.0℃ぐらいである。体温計には1分計,5分計があるが,1分計といつても1分でよいというわけにはいかない。少くとも5分ぐらいおかないと,一定の値を示さないから注意しなければならない。生理学的研究には水銀温度計のように熱容量の大きいものでは瞬間的温度変化をつかまえられないので,熱電対温度計が用いられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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