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文献詳細

雑誌文献

臨床検査10巻1号

1966年01月発行

文献概要

技術解説

組織内の真菌染色法—その確実な染色・検出・同定の方法

著者: 奥平雅彦1

所属機関: 1東京都監察医務院・東大病理学教室

ページ範囲:P.17 - P.22

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はじめに
 組織標本の染色法には数多くのものが知られている。しかしながら,各個人が実際に行なう染色法には"なれ"というか,"好み"というようなものがあって,特別のことがなければ"なれた"染色法をしてまにあわせて新しい染色を採用してみないことが多いのではないかと思われる。
 最近10数年間に真菌症についての知見がめざましく開発されたが,その中で特筆さるべき事項の一つとして優れた真菌の染色法の出現をあげねばなるまい。Binford1)によれば,1947年Lillieが組織内の各種の真菌の検出にBauer染色が優れていることに注意を喚起したことによって,組織内の真菌の検出法の新しい時代がはじまったという。10年位前までは例外があるという記載もあったが2),現在ではすべての真菌症の病巣組織内に必ず真菌要素が検出できることが確認されている。そうはいっても多くの病理学者によりルーチンに用いられているHematoxylin eosin染色によってはほとんど染まらないか,または全く染まらない真菌があることも事実である。Hematoxylin eosin染色で観察される組織反応はしばしば真菌感染の疑いをもたす重要な手がかりとなる。しかしながら,一つの病原真菌が異なる組織反応を示したり,異なる病原真菌が同じような組織反応を惹起することがあるので,明確な診断は組織内に真菌を確認することが第一歩である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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