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文献詳細

雑誌文献

臨床検査10巻3号

1966年03月発行

文献概要

技術解説

染色体の検査方法—最も広く行なわれている方法4.

著者: 長村重之1 川西正広1 安達満雄1 山田隆城1 木本元治1

所属機関: 1東京医科大学・内科

ページ範囲:P.209 - P.219

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染色体検査の歴史
 人類染色体の研究は1882年Flemmingによって始められた。その後,本格的に研究されはじめたのは1912年de Winiwarterが染色体数は47本であると報告してからであり,その後Painterによって48本説が報告されてからは各研究者により47本説,48本説をめぐって論議されてきた。しかし当時はパラフィン包埋切片標本による染色体分析であるために成績が不一致になったものと思われる。しかし1956年TjioとLevanは組織培養法を応用して人胎児の肺組織を用い人類染色体数が46本であることを明らかにした。そして正常人の染色体の研究が大いに進歩した。すなわち正常男子の場合は(図1A1, A2)44本の常染色体の他,XYの性染色体,正常女子の場合は(図1B1,B2)44本の常染色体の他XXの性染色体を有することが明らかになった。それにともない遺伝的な疾患や性異常者の染色体の研究が盛んとなり,ダウン症候群(蒙古症)およびクラインフェルター症候群の患者は染色体数が47本であることがわかり,ターナー症候群は染色体数が45本であることが明らかになった。また染色体の配列については1960年米国コロラド州のデンバーに細胞学者が集まりいわゆるデンバー分類(Denverclassification)が確立された。
 一方,癌及び白血病の染色体の研究も盛んにおこなわれ,染色体数および形態に異常が存在することがわかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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