文献詳細
文献概要
総説
赤沈の実際とその理論
著者: 阿部正和1 磯貝行秀1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学阿部内科
ページ範囲:P.417 - P.421
文献購入ページに移動赤沈とは
血液に抗凝固剤を加えて小さい試験管に入れ,まっすぐに立てておくと赤血球は血漿の中を沈降してゆく。これは赤血球と血漿との間に比重の相違があるからである。この赤血球の沈降反応を簡単に"赤沈"あるいは"血沈"とよんでいる。
この現象は,古くから知られており,病気の診断,経過,あるいは予後を判断するのに利用されてきた。しかし,この反応があまりにも非特異的であり,しかもその反応のメカニズムに不明の点が少なくないために,その価値については必ずしも高く評価されていないうらみがある。とくに最近のようにすばらしい検査が次から次へと登場してくると,昔ながらの赤沈という検査は臨床の片隅へおいやられている感がないでもない。そういう立場から,ここで赤沈がどのようなからくりに基づくものかを新しい医学知識の観点より再評価することも,意味のあることだと考えるのである。まず赤沈の歴史をざっと概観してみよう。
血液に抗凝固剤を加えて小さい試験管に入れ,まっすぐに立てておくと赤血球は血漿の中を沈降してゆく。これは赤血球と血漿との間に比重の相違があるからである。この赤血球の沈降反応を簡単に"赤沈"あるいは"血沈"とよんでいる。
この現象は,古くから知られており,病気の診断,経過,あるいは予後を判断するのに利用されてきた。しかし,この反応があまりにも非特異的であり,しかもその反応のメカニズムに不明の点が少なくないために,その価値については必ずしも高く評価されていないうらみがある。とくに最近のようにすばらしい検査が次から次へと登場してくると,昔ながらの赤沈という検査は臨床の片隅へおいやられている感がないでもない。そういう立場から,ここで赤沈がどのようなからくりに基づくものかを新しい医学知識の観点より再評価することも,意味のあることだと考えるのである。まず赤沈の歴史をざっと概観してみよう。
掲載誌情報