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文献詳細

雑誌文献

臨床検査10巻7号

1966年07月発行

文献概要

外国雑誌より

ピペットを口で吸う危険性

著者: 中甫1

所属機関: 1東京衛生病院臨床検査科 2

ページ範囲:P.676 - P.677

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●はじめに
 ある種のピペットはおそらく実験室というものがはじまって以来科学者達によって基本的な器具として使用されてきている。"Pipette"という語は1830年にフランス国語に紹介されたようである。1860年以来細菌学の開拓者たちがピペットの使用ということをしばしばとりあげはじめた。1870年にはピペットの口をつける側に綿で栓をして用いることが一般の習慣となった。それにもかかわらず初期の時代の化学検査室ではピペットの使用で有毒物質をあやまって吸い込むというような事故をひき起した。記録に見られる最初の検査室における感染は1893年におこりそれは口で吸うピペットによるものであった。Kisskalt2)はチフス菌の培養液をあやまって吸い込んだ医師のことを報告している。その後,今世紀にはいってからおこなわれた検査室における感染についての調査はピペットを口で吸う時,検査室技術者の中に時々思いがけない感染をおこす者があるというはつきりとした証拠を示した。1915年にPaneth3)が57件の検査室の事故を分類してみたところそのうち47件が感染によるもので感染の40%以上がピペットを口で吸うことによるものであった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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