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文献詳細

雑誌文献

臨床検査11巻1号

1967年01月発行

文献概要

技術解説

乳酸脱水素酵素アイソザイムの分画法—とくにpolyacrylamide gel薄層電気泳動法による

著者: 永井諄爾1 内村英幸2

所属機関: 1九大病院中央検査部 2九大神経科精神科学

ページ範囲:P.35 - P.42

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アイソザイムとは
 酵素の主体物質は蛋白質である。ある化学物質が純粋であるかどうかのきめ手の1つは,それが結晶であるかどうかである。多くの酵素が蛋白質として,また一定の複合蛋白体として,その結晶化に成功している。私たちはこうした結晶酵素を純粋な酵素,すなわちそれ以上細分などされないものと考えてきた。
 ところが1959年MarkertとMöller2)とは,心筋から抽出した乳酸脱水素酵素**の結晶の溶液を電気泳動にかけたとき,それが4つの分画帯にわかれることを認めた。すなわちこれら4つの分画は,どれもNAD***を助酵素とし,L-乳酸を脱水素するという触媒作用の点CH3-OHL-乳酸0COOH+NAD LDH CH3-C=O-COOH+NADHでは同じであるが,電気泳動における易動度に差異があったのである。MarkertとMöllerとは作用は同じであるが,その物理化学的性質のちがう酵素をアイソザイムと名づけた。彼らのこの研究と前後して,血清やその他の体液,また組織抽出液などを電気泳動やクロマトグラフィで分画するとき,それらの材料の中の多くの酵素が一定の分画に分離されることが知られていた。そして臓器の種類によって,分画される酵素,たとえばLDHのアイソザイム数とその分画像,それぞれのアイソザイムの性質が,それぞれ一定していることが明らかになった。この関係を模型的に示すと,図1のとおりである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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