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文献詳細

雑誌文献

臨床検査11巻1号

1967年01月発行

文献概要

入門講座 血液

血球の分化と成熟過程

著者: 寺田秀夫1

所属機関: 1昭和大臨床病理

ページ範囲:P.63 - P.63

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 健康人の身体には体重の約1/3すなわち4〜5lの血液がある。この血液は血漿(無形成分)と血球(有型成分)とに分けることができる。血球はさらに大別して赤血球系,白血球系,栓球系に分けられ,白血球系は細胞質内に顆粒を有する顆粒球系細胞とリンパ球,単球,形質細胞に区別される。
 これらの血球は造血臓器すなわち骨髄,リンパ節,脾などからつくられるが,その分化の過程はなお充分には明らかでない。現在赤血球,顆粒球,単球,栓球は骨髄から,リンパ球はリンパ節や脾臓,胸腺,扁桃腺などのリンパ組織でつくられ,形質細胞は網内系あるいは血管外膜細胞から産生されると考えられている。骨髄内でつくられる細胞のもっとも未分化のものを幹細胞と呼び,これから赤血球系,顆粒球系,単球系,栓球系と分化し(表),各々の系統の最も幼若型を一般に芽球とよぶ。この母細胞が細胞分裂をくりかえしながら数を増すと同時にしだいに成熟が進み,細胞の大きさは小さくなり,核構造も粗くなり核小体(核仁)が消失すると共に細胞質の染色性も変化し顆粒などが生じてくる。これは幼若型ほど細胞質内に多量の核酸があり強塩基性に染まるためである。正常な場合には成熟した細胞(表中□で囲まれたもの)だけが末梢血液のなかに出てくる。末梢血液中に出てこない未成熟な細胞を総称して幼若細胞と呼び,白血病をはじめいろいろな病的状態ではこの幼若細胞が末梢血液中に出てくる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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