icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査11巻12号

1967年12月発行

文献概要

特集 簡易臨床検査法 血液

血清コリンエステラーゼの簡易測定法

著者: 坂岸良克1

所属機関: 1東京医科歯科大学中検生化学科

ページ範囲:P.914 - P.918

文献購入ページに移動
意義
 コリンエステラーゼ(ChE)はアセチルコリンを

 <式省略>

のようにコリンと酢酸に加水分解するエステラーゼの1種である。この酵素にはさらにアセチルコリンのみに特に親和性の高いもの(true cholinesterase)と種々のコリンエステル(例ブチリルコリン)を水解する酵素(pseudocholinesterase)が含まれ,赤血球,神経(ニューロン間のシナプス)と筋肉(myoneural junction)に見出されるものは前者,血漿中のものは後者に相当する。臨床化学分析の対象となるのは億とんどpseudo ChEである。pscudo ChEは肝臓,膵臓,消化管の粘膜,筋層,心筋,副腎髄質,および血漿中に存在するが,神経組織にも含まれている。血漿中のChEは電気泳動分画のうちのα2-グロブリン位に見出されるが,これはほとんど肝臓に由来するものと考えられている。四塩化炭素による中毒実験では肝臓ChEの減少と血清ChEの減少が平行することが認められた。またジイソプロピル・フロロ・リン酸(DFP)で血漿中のChE活性を抑えていても,ChEは肝臓中で生合成され,2〜3週間で回復してしまう。さらにネフローゼの例を除くと,血清ChE活性の増減ば血中アルブミン量の増減とよく一致する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?