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皮膚真菌症の検査<3>—菌種同定法
著者: 香川三郎1
所属機関: 1東京大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.99 - P.105
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菌種の同定は培養により得た菌株につき,その肉眼的培養形態,すなわち発育の速度,菌苔の表面の性状,色,菌苔裏面の性状,培地内に産生される色素の有無等につき観察し,おおよその菌種を予測しておき,さらに菌苔の一部を掻きとって顕微鏡下に菌学的性状,すなわち胞子の形,大きさ,数,その産生方式(懸滴培養等で確認する),菌糸の形状,菌糸の変形と目されている特殊な器官(たとえばラセン器官。結節器官,櫛状器官等)の有無等を検索し,これらを総合した上で菌種を決定するのである。しかしながら菌株によっては,同一菌種でありながら,分離当初の初代培養時においてすでに種々な程度に変異(variation)がみられることが少なくなく,特に白癬菌群においていちじるしいものがあり,菌種同定に困難を感じさせることが多い。また菌株の保存中,特に継代培養を行なううちに菌種によっては速かに培養の肉眼的形態および顕微鏡的菌学的形態に変異が起こり,菌種の同定を困難にすることもあるので,菌種の同定は分離当初の初代培養のものにつきおおよそ1ヵ月以内の早期に行なうことを原則とすべきである。
菌種の同定は培養により得た菌株につき,その肉眼的培養形態,すなわち発育の速度,菌苔の表面の性状,色,菌苔裏面の性状,培地内に産生される色素の有無等につき観察し,おおよその菌種を予測しておき,さらに菌苔の一部を掻きとって顕微鏡下に菌学的性状,すなわち胞子の形,大きさ,数,その産生方式(懸滴培養等で確認する),菌糸の形状,菌糸の変形と目されている特殊な器官(たとえばラセン器官。結節器官,櫛状器官等)の有無等を検索し,これらを総合した上で菌種を決定するのである。しかしながら菌株によっては,同一菌種でありながら,分離当初の初代培養時においてすでに種々な程度に変異(variation)がみられることが少なくなく,特に白癬菌群においていちじるしいものがあり,菌種同定に困難を感じさせることが多い。また菌株の保存中,特に継代培養を行なううちに菌種によっては速かに培養の肉眼的形態および顕微鏡的菌学的形態に変異が起こり,菌種の同定を困難にすることもあるので,菌種の同定は分離当初の初代培養のものにつきおおよそ1ヵ月以内の早期に行なうことを原則とすべきである。
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