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文献詳細

雑誌文献

臨床検査11巻7号

1967年07月発行

文献概要

講座 臨床血清学講座Ⅹ

各論(6)—免疫血液学的検査(B)

著者: 福岡良男1 安藤清平1

所属機関: 1東京医科歯科大学中央臨床検査部血清

ページ範囲:P.493 - P.498

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I.新生児溶血性疾患
1.新生児溶血性疾患の概略
 胎児が母親にない血液型抗原(父親から遺伝されたもの)をもっている場合に,母親はその血液型抗原によって免疫され抗体を作ることがある。たとえばD陰性の母親がD陽性の胎児赤血球によって免疫され抗D抗体をつくるような場合がある。この抗体のうち非定型抗体(lgG抗体)は胎盤通過性があるので母親から胎児の血中に移行し,胎児赤血球と結合する。この抗体と結合した胎児赤血球は脾臓で捕捉され次々と破壊されるので貧血と黄疸が起こってくる。これを新生児溶血性疾患という(以前は胎児赤芽球症といった)。重症の場合には胎内で死亡したり流産することもある(図1)。
 新生児溶血性疾患はRh式のD因子不適合とABO式の不適合の結果おこるものが大多数である。ABO式の場合では母親が0型で胎児がA型またはB型の組合せが多い。しかし母児間にこれらの型の不適合があっても必ずしも新生児溶血性疾患がおこるとはかぎらない。D因子の不適合があっても第1子ではほとんど本症はおこらなく,つづいて第2子で不適合があった場合に約5%位が罹患するにすぎない。ABO式不適合による新生児溶血性疾患はD因子不適合によるものに比し症状が軽くて見逃されがちであるが,母児間のABO式不適合が予測された中で実際に交換輸血を必要とするものは50〜100人中1人であるといわれている(官川統,日本医事新報No.2217:130,1966)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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