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テレメーター心電計—取り扱いの実際
著者: 新谷博一1 成沢達郎1 石井靖夫1 藤巻忠夫1 金沢英夫1 野木洋平2
所属機関: 1昭和大学医学部第三内科 2フクダ医療電機設計課
ページ範囲:P.169 - P.174
文献購入ページに移動テレメータリング,余り耳なれない言葉ですがすでに私達の生活の中に直接,間接に切りはなせない程深く入りこんでいる技術なのです。石油工業の写真をみると,まるで無人工場のようです。製鉄も昔のように真赤にやけた溶鉱炉の傍に人間がいるような事もなくなったようです。ダムの水量の調節も人手を要しません。
人工衛星からは様々な情報を,時には宇宙飛行士の心電図を地上に送り,宇宙遊泳中の脈拍数の変化などまでわかるようになりました。テレメータリング(遠隔計測)は遠隔部における対象からの情報を計測し,その情報を伝達する技術方法で,さらにこの情報をもとに対象をコントロールすることも出来ます。生物,とくに高等動物は,精緻を極めた無数のテレメータリングの集積ともいえるでしょう。テレメータリングの技術的な進歩は電子工学の発達によるものですが,トランジスターさらに最近のIC回路などは,機器の小型軽量化,安定化を容易にしてテレメータリングの応用範囲を大幅に広げました。医学の世界にも着着と導入され,患者の体温,脈拍,呼吸,血圧の自動測定記録はすでに使用されています。この場合情報は電気的に変換されてコードを通じてセンターの記録器に接続されています。心電計も患者コードを延長して遠隔部で記録すればテレメータリングですが,通常テレメーター心電計(以下テレ心電計と略す)といえば,コードを使用しないで無線で心電図を送り記録する心電計のことをさします。
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