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病理学総論(その1)
序論—病理学の歴史的背景について
著者: 渡辺恒彦1
所属機関: 1東京逓信病院病理
ページ範囲:P.210 - P.214
文献購入ページに移動●はじめに
これから何回かにわたって病理学総論の話をすすめてゆくわけであるが,そのまえにすこしおことわりしておきたいことがある。
まず第一にこれから述べることは,病理学の教科書のように,たくさんの事項をならべて,それらを一つ一つ説明してゆくというやり方はとりたくないということである。病理学で扱かう範囲はおよそ全身の,あらゆる病変におよぶから,それを一つ一つていねいに扱かうとなると大へんな紙数になるし,又わたしごとき程度の能力の人間にはとてもできることではない。そういう意味の教科書的病理学は別に世上にたくさんある成書を読んでいただくとして,わたしはそれらの多数の項目の中から,わたしなりに実感の入る部分だけをとり上げてみたいと思う。だから項目は決して多くならない筈である。多くなくとも,その一つ一つをわたしなりに扱かってみて,ある読者の方々にこういう見方もあるのかと思っていただければ,わたしの今度の目的は達したことになるのである。
これから何回かにわたって病理学総論の話をすすめてゆくわけであるが,そのまえにすこしおことわりしておきたいことがある。
まず第一にこれから述べることは,病理学の教科書のように,たくさんの事項をならべて,それらを一つ一つ説明してゆくというやり方はとりたくないということである。病理学で扱かう範囲はおよそ全身の,あらゆる病変におよぶから,それを一つ一つていねいに扱かうとなると大へんな紙数になるし,又わたしごとき程度の能力の人間にはとてもできることではない。そういう意味の教科書的病理学は別に世上にたくさんある成書を読んでいただくとして,わたしはそれらの多数の項目の中から,わたしなりに実感の入る部分だけをとり上げてみたいと思う。だから項目は決して多くならない筈である。多くなくとも,その一つ一つをわたしなりに扱かってみて,ある読者の方々にこういう見方もあるのかと思っていただければ,わたしの今度の目的は達したことになるのである。
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