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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻4号

1968年04月発行

文献概要

入門講座 血液

線維素溶解現象

著者: 寺田秀夫1

所属機関: 1昭和大医学部臨床病理

ページ範囲:P.271 - P.271

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 線維素溶解現象(線溶現象,Fibrinolysis)とは,一度凝固した凝血が溶解する現象で,血液凝固第3相の主役である線維素(フィブリン,Fibrin)あるいは線維素原(フィブリノゲン,Fibrinogen)が,蛋白分解酵素の1種であるプラスミン(Plasmin)によって溶ける現象をいう。
 線溶機序(表1):プラスミンは普通生体内では,その前段界物質であるプラスミノゲン(Plasminogen)という不活性型で存在し,これをプラスミンに活性化する因子すなわちアクチベーター(Activator)も不活性型のプロアクチベーター(Proactivator)として存在する。すなわち正常の場合にはプラスミノゲン,プロアクチベーター,フィブリノゲンといういずれも安定した形でこれらは存在するが,何等かの原因で,例えば炎症性反応ショック,外科的侵襲,アレルギー反応,中毒などの場合には,不活性型のプロアクチベーターがアクチベーターに変り,これがプラスミノゲンをプラスミンに活性化し,このプラスミンがフィブリンやフィブリノゲンをどんどん分解して行くわけである。かかる線溶現象が非常に亢進すると凝固因子(プロトロンビン,第V,VII,IX因子)活性も低下し,又血管壁の透過性も亢進し血小板機能も減弱するので,これらが一緒になって線溶昂進による出血が起ってくる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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