文献詳細
文献概要
研究
Cellulose acetate膜による糖蛋白分画法
著者: 大城巌1 北山久雄1 前田次郎1 神田俊一1 太田喜一郎1 阿部彪爾1
所属機関: 1和歌山県立医科大学中央検査部
ページ範囲:P.291 - P.293
文献購入ページに移動血漿蛋白質の分析法は近年めざましい発展をとげたがKohn1)により紹介されたCellulose acetate膜を支持体とする分析法もその一つであろう。この膜が電気泳動法に応用されるに及び,手技の簡易迅速化や精度の向上に大きな役割を果たして来たことは衆知の事実である。本邦では1962年春日2)次いで小川3)らによりCelluloseacetate膜電気泳動法が導入され,日常検査においても濾紙電気泳動法にとりかわりつつある。
一方,糖蛋白の分画には従来よりの濾紙電気泳動法がなお広く行なわれており,泳動に長時間を要すること,アルブミンとα1—グロブリンの分離が不十分なこと及び膜透化が完全に行われないことなどの欠点により分画値の精度や再現性になおいくつかの難点がある。Celluloseacetate膜を糖蛋白分画に応用することによりこれらの問題を解決することが出来ると考えられる。すでにBodman4)によりこのCellulose acetate膜による糖蛋白分画法が紹介され,又最近Kelsey5)らも同様な報告をしているが,いずれもPeriodic Acid Schiff染色法(PAS染色法)の応用である。このPAS染色に使用している試薬の一部は本邦では入手困難なものがあるためこれをただちに応用出来ない。
掲載誌情報