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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻6号

1968年06月発行

文献概要

入門講座 血液

赤血球に関する指数および恒数

著者: 寺田秀夫1

所属機関: 1昭和大・臨床病理学

ページ範囲:P.427 - P.427

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 Ht, Hb,赤血球数はそれぞれ貧血の度を示すが,これらの値から赤血球指数とWintrobeの赤血球平均恒数を計算することにより,その貧血がいかなる型に属するものかを予測できて診断をすすめる上に大いに役立つ。
 これらの値の出し方は表1のとおりである。貧血は大別して低色素性小赤血球性貧血群,高色素性大赤血球性貧血群ならびに不定ないし正色素性正赤血球群に分けられるが(表2),上述のこれらの日本人についての諸数値の正常値はなお報告者により多少の差がある(表3)。またこれらの諸値は計算に基つくもので誤差を生じやすく,一方貧血かその経過によりこれらの値に変化を生じてくる。たとえば高色素性大赤血球性貧血の代表である悪性貧血がVB12療法により回復してくれば,しだいに正色素性正赤血球性貧血の形をとり,胃癌の骨髄転移は大赤血球性の場合が多いが,癌組織からの出血が強く,乏鉄状態が進めば小赤血球性となってくる。したがってこれら諸数値のみに固執して貧血の診断を一律に下すことは避けるべきである。しかしながら貧血の患者の場合には常にこれらの諸数値を計算する習慣をつけておくことは検査に従事する者として絶対に必要なことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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