icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻6号

1968年06月発行

文献概要

入門講座 細菌

指示薬の概念と微生物学領域におけるその利用について(そのIV)

著者: 橋本雅一1

所属機関: 1東京医歯大・微生物学

ページ範囲:P.429 - P.429

文献購入ページに移動
酸化・還元指示薬
1.酸化・還元指示薬の作用機転
 この指示薬は作用機転の点でpH指示薬に似ている。すなわち,それぞれの場合でふたつの異なった色調をもつ形の存在が必要であるし,また一方の形から他方の形への変化は可逆的であるということである。酸化・還元電位の変化による反応は,ふつうIred⇄lox+neという式で表現される。ここで,IredとIoxはそれぞれ指示薬の還元形と酸化形を示し,neは還元された状態の物質が酸化をうけたときに遊離する電子の数を表わしている。
 よく使われるメチレン青についてこの変化を説明してみよう。この色素は酸素が存在するかあるいは還元剤が加えられていない状態では青い色調をとる。しかし,この色素が酸素の存在しないところで呼吸している細胞浮遊液に加えられれば,この色素は細胞の脱水素酸素の水素受容体として働き,還元されて無色の白色体に変わる。したがって,この色素がどの程度還元されたかによって,脱水素酵素活性の程度を測定できることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?