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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻7号

1968年07月発行

文献概要

入門講座 生化学

pH標準液

著者: 小延鑑一1

所属機関: 1京大病院検査部

ページ範囲:P.497 - P.497

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 現在のpHはフタル酸水素カリウム標準液が基準になって定められたことは前回に述べた。それではすべてのpH測定には1っの標準液で十分であるかと言えば問題がある。それは,日常私たちが測定しようとする溶液には,蒸溜水のように溶質の極めて少ないものから,そうとう濃厚なものまであり,あるいは酸化性や還気性のものや懸濁物が含まれている溶液もある。このような溶液のは水素電極で正確に計ることはできない。
 溶液の性状に比較的影響を受けないで再現性のよい電極に,ガラス電極がある。しかしながら,このガラス電極の起電力は図1に示すように水素電極の起電力と一致せず,被検液との間に液間起電力もあり,酸性側およびアルカリ性側では直線性よりのずれもある。このため広い範囲にわたって標準液を定め,なるべく被検液のpHに近い標準液と比較してpHを測定するようにすれば,液間起電力などの値も同じく近接しており,誤差も少なくなると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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