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文献詳細

雑誌文献

臨床検査12巻7号

1968年07月発行

文献概要

入門講座 血清

梅毒の血清学的検査法V—FTA-ABS

著者: 松橋直1

所属機関: 1東大血清学

ページ範囲:P.499 - P.499

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 Treponema pallidumを抗原とするもので,日常検査法として実用段階に入っているものとしては,TPHAの他にFTA-ABSとTPIがある。TPIはウサギ睾丸にTPを感染させてできた梅毒腫から,TPを抽出し,これを特殊な培地に保つと1〜2日生かしておくことができる。TPはらせん状で遊走しているが,これに梅毒患者血清と補体を入れると運動が止ってしまうので,この反応はTreponemal Immobilizationと名づけられ,略してTPIと呼ばれているが,TPを嫌気性の条件で生かしておかなければならないので,反応条件を一定に保つことはかなり困難であり,わが国ではほとんど実施されていない。
 TPを抗原として梅毒患者血清との間で螢光抗体法間接法を行なう方法のTreponemal Fluorescent Antibody testは略してFTAとよばれているが,TPは死んだものでよく,凍結乾燥したもので十分である上,ごく微量でよいので,螢光顕微鏡装置のあるところならどこでも実施できるため,世界各国で実用になっている。FTAは,創案された頃は患者血清を5倍希釈で用いられていたが,やがて,この希釈度では非特異反応が多いというので200倍希釈血清がもちいられ,FTA-200として,かなり高い特異度が経験されていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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