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入門講座 血清
血液型判定法その1
著者: 松橋直1
所属機関: 1東大血清学
ページ範囲:P.581 - P.581
文献購入ページに移動 Landsteiner (1900)によるABO式血液型の発見により,ヒトの貧血や失血の治療として輸血がおこなえるようになったばかりでなく,各個人は血液型を遺伝により両親から受けることが明らかになった。その結果個人鑑別や,民族によるABO各型の出現頻度の違い(民族指数)があることがわかり,血液型の研究は,輸血学,法医学,遺伝学,人類学の立場から,さかんに検討された。その後,Landsteiner門下により,MN,P型などが加わり,血液型はより詳しく分類されるようになった。さらに輸血治療がひろく用いられるようになると,ABO型が同型であっても,輸血を繰り返すうちに,副作用を呈するものが経験されるようになり,Rh式血液型が発見された。また,母児間に血液型の不適合があると,妊娠中とくに分娩時に胎児の血液が母体に流れこんで,母体を免疫する結果,胎児の赤血球に対して抗体が産生され,この抗体が分娩時近くに胎盤を通過して胎児の流血中に入って,重症黄疸などを引きおこす新生児溶血性疾患の原因となることが,Levineらにより見出され,今日のRh型の発見のきっかけとなった。
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