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文献詳細

雑誌文献

臨床検査13巻3号

1969年03月発行

文献概要

研究

体腔液の細胞診—特に印環型細胞の分析

著者: 黒木須雅子1

所属機関: 1国立がんセンター病院臨床検査部細胞検査室

ページ範囲:P.259 - P.261

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 細胞診という検査を意識して標榜するまでもなく,従前からいかなる施設でも,いかなる科でも行なってきているのは体腔液の細胞診であろう.したがって検査の機会は多く,問題も多い.問題の最大のものは,細胞種ので鑑別であり,漿膜細胞(中皮細胞,または内皮細胞)と食細胞(単球様細胞または組織球)とを癌細胞といかにして区別するかであって,単なる"異型的"などという程度のcriteriaでは,全然問題にならないことは周知のとおりで,これに関してはすでに多くの研究がある.
 次に体腔液細胞診でしばしば問題となるのは,いわゆる"印環型細胞"である.確かに粘液産生性癌細胞が印環型を呈することがあるのは事実であるが,同時に体腔液中の食細胞が印環型となることも必発といってよい現象である.したがって,一口に"印環型"という形態を呈する細胞には,癌細胞由来のものと食細胞由来のものとがあることが明らかであって,この両者を明確に鑑別することは,きわめて重要である.最も重大な鑑別点は,両種の細胞の生物学的性状の差を把握する方法をとることであろう.すなわち,間葉系細胞としての食細胞の有する貪食能の確認の問題と,粘液産生能を有する上皮性性格を多糖類で確認することである.ただし,PASはほとんどすべての細胞種に陽性所見が見られるので,どのような形態と分布であるかが問題となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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