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タイの検査室
著者: 高橋昭三1
所属機関: 1結核研細菌科
ページ範囲:P.9 - P.14
文献購入ページに移動バンコックの大病院としては,タイ赤十字病院,ラマ・チボリ病院,シリラ病院の3つをあげることができる.臨床検査室としては,この3病院のほか,日本でいえば予研にあたる医学研究施設がある.これらの病院はアメリカ,日本,その他の国の援助により,近代的なラボを作っており,また作りつつあるといってよい.ラボを回ると各国の品評会の観がある.上にあげたほか,伝染病院(主としてコレラ),中央胸部病院(著者が滞在していた)なども,大きなまとまった施設であったが,臨床検査室は日本のものとあまり変わらない.これらの病院のラボの最大の悩みは,技術者,医師の不足であり,日本よりももっと深刻である.それはタイ語でなく,英語で教育を受けているため,どんどん英語国に流出してしまうためであろう.また,実験医学の経験が乏しいため,技術者,研究者の層が日本に比べて著しく薄いためではないかと思われる.今,これらの病院は,経験と技術の蓄積のために必死の努力をしている.私はそこを回ってくる機会にめぐまれた.このころ最低気温が30℃以下の日はなく,最高気温が40℃を越す日が数日あった.空中雑菌はおどろくほど少ないが,室温ということばは22℃でなく,33℃ぐらいを適用しなければならないラボが大部分である.
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