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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻3号

1970年03月発行

文献概要

特集 巨赤芽球および巨赤芽球様細胞

巨赤芽球および巨赤芽球様細胞の見かた—その技術と観察所見

著者: 河北靖夫1 牧野卓麿1 小山和作1 宮川捷敏1

所属機関: 1熊本大第2内科

ページ範囲:P.233 - P.239

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巨赤芽球は正常人骨髄中には存在せず,その存在が確認されれば診断的価値は大きい.すなわちAddison-Biermer巨赤芽球性貧血(いわゆる悪性貧血)あるいはそれに類似したビタミンB12ないし葉酸欠乏状態(たとえば妊娠性悪性貧血,無胃性悪性貧血—いずれも骨髄に巨赤芽球増殖がみられるので,妊娠性巨赤芽球性貧血,無胃性巨赤芽球性貧血と呼ばれる—など)と診断される.最近では抗痙攣剤や抗結核剤などの投与でも巨赤芽球が出現することが報告され,また抗腫瘍剤として代謝拮抗物質,特に葉酸拮抗物質たるアメトプテリンの使用でしばしば巨赤芽球の出現をみることがあり,6—メルカプトプリン(6—MP)やサイトシン・アラビノサイドの投与後でも同様のことが起こる.
一方,巨赤芽球様細胞は巨赤芽球とは全く性質の異なるもので,むしろ赤血病における腫瘍細胞と考えられる性格のものであるが,ギムザ染色上これら両者を識別することは非常に困難である.特殊な場合を除いて,巨赤芽球造血においてはビタミンB12,葉酸に反応して巨赤芽球はすみやかに消失し,網赤血球分離,貧血の回復が起こるのに反し,巨赤芽球様細胞にはビタミンB12ないし葉酸は全く無効である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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