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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻3号

1970年03月発行

文献概要

特集 巨赤芽球および巨赤芽球様細胞

抗白血病剤による巨赤芽球様細胞の出現

著者: 守田浩一1 岩永隆行1 入交清博1 天木一太1

所属機関: 1日大萩原内科

ページ範囲:P.240 - P.243

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はじめに
 巨赤芽球の特徴は,細胞が不正形であるということもあるが,それより本質的な点は,核と細胞質との間で,成熟の度合に不一致がある所見といえる.細胞質の成熟度,すなわち血色素の合成の度合と,核構造の分化,すなわち核の線細度とが一致せず,核の構造が細胞質の分化に比べて未熟の段階を保っている。また,核の消失の様子も特徴的で核の多形性が強く,成熟するにつれて多数の核小片に分かれて,赤血球内に分散している像(karyorrhexis),あるいは核の一部が融解しているような像(karyolysis)もみられる1,2)
 これらの巨赤芽球は,VB12欠乏による悪性貧血や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血でみられ,赤白血病でも似た細胞がみられるが,各種の抗白血病剤を投与した場合にも,巨赤芽球と類似した巨赤芽球様細胞が認められる.そのような薬剤としては,まずメトレキセート(アメトプテリン),アミノプテリンがあり,これらは葉酸拮抗物質であるので,薬酸欠乏症のときと同様の変化が認められることは容易に想像されるが,そのほかの抗白血病剤,抗癌剤のサイトシン・アラビノシッド,5-Fu(5-fluorouracil)などでも認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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