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文献詳細

雑誌文献

臨床検査14巻3号

1970年03月発行

文献概要

技術解説

糞便ビリルビン検査法

著者: 林康之1 小林一二美2

所属機関: 1順大・臨床病理 2順天堂医院中検

ページ範囲:P.251 - P.255

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はじめに
 糞便中の胆汁色素はウロビリン体(ステルコヒリン,ステルコビリノーゲン)が主で,ビリルビンそのものは量的にも少なくほとんと問題にされてはいない.検査法の成書によっても,定性反応としてのグメリン法.シュミットの昇汞試験,Huppert法などが簡略に記されているにすぎない.一方,ウロビリン体の定量法に関しては,貧血の鑑別診断,胆道疾患,肝疾患などの診断上の要求からWatson法が確立され,日常検査として普及しているのが現状である.
 そして,従来,胆汁中の直接ビリルビンは腸内細菌叢の作用によってほとんど遷元され,ウロビリン体に変換された形で糞便中に排出されると考えられてきたので,ビリルビン量の測定はほとんど臨床的価値はないものとされてきた.ところが,最近の広域抗生物質の発展は,投薬と同時に腸内細菌叢に影響を与え,ウロビリン体の生成を阻害し,ビリルビンのまま糞便中に排出される可能性が大きく,ウロビリン体定量のみでは不十分と考えられる場合もでてきた.また,グメリン法,シュミット法なと従来の定性法は,白色磁性皿の上で実施しても,その色調変化を的確にとらえるためには,相当量のビリルビン排出がなければならず,判定の困難なことからもよい方法とはいえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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