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文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻10号

1971年10月発行

文献概要

Senior Course 血清

ABO式新生児溶血性疾患の診断(1)

著者: 村上省三1

所属機関: 1東女医大・輸血部

ページ範囲:P.1043 - P.1043

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1.はじめに
 同じ新生児溶血性疾患でも,抗Rh抗体などによる揚合は,出産前に検査して得られた血清学的なデータから,生まれ出る子供の重症度をほぼ予知できるが,ABO式の場合はなかなかうまくいかない.その理由として考えられることは,ABO式の抗体は妊娠や輸血以外にもいろいろな原因でできたり,強くなったりすることがあり,それが逆にくるべき妊娠や出産に悪影響を及ぼすこともありうるが,Rh式の場合には,抗体のできる理由が限られているので,抗体価と重症度がより強い相関を示すことや,Rh因子の場合は胎児血球にも胎生期のかなり早期から見いだされ,出産時にはほぼ成人と同じくらいまで発達しているが,ABO式の場合はA型因子やB型因子は出産時でも成人の約半分ぐらいまでしか発達していないので,新生児の血球の特性をも考慮にいれなければならないことなどがある.
 Rh式の場合は最近抗Rhγ—グロブリンの活用などから,新生児溶血性疾患の発生頻度はむしろ減少の傾向にあるが,ABO式の場合にはそのような恩典もなく,その相対的な頻度は上昇傾向にある.さらにSpeiserらによれば各種の予防接種がこれを強めている可能性すらあるといっているから,事態はますます混乱をきわめていることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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