icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻10号

1971年10月発行

文献概要

Senior Course 生理2

循環動態と心電図

著者: 村山正博1

所属機関: 1東大第2内科

ページ範囲:P.1047 - P.1047

文献購入ページに移動
 心電図と循環動態とは必ずしも密接な関係があるわけではない.心電図は圧,血流,収縮力といったような心臓の機械的収縮に伴う諸現象(循環動態)とはただちに結びつかない.たとえばQRS波の大きさは,心収縮力の強さとは無関係であり,それは心室壁の厚さ,心臓の位置およびそれらの変化による心臓と電極との相対的距離の変化とか,電気的フィールドの変化とかいった誘導条件により定まるものである.
 しかし,臨床的に各種の循環動態に変化を及ぼすような条件が,心臓または全身循環系に生じた場合,その結果として各心房または心室に,肥大,拡張が起こり,心電図上に変化をもたらす.すなわち心電図からただちに循環動態を推測することはできないにしても,肥大とか拡張とかいった心臓の形態学的変化を推測することにより,その背景にある疾患,ひいてはある程度の循環動態を間接的に憶測することはできる.したがって心電図をみる場合,通常ただちに疾患名を診断することはしないで,たとえば‘心電図上,典型的な右室肥大,僧帽性Pの存在があり,これは僧帽弁狭窄症にCompatible (相当する)所見である’といったいい方をする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?