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Senior Course 生理2
循環動態と心電図
著者: 村山正博1
所属機関: 1東大第2内科
ページ範囲:P.1047 - P.1047
文献購入ページに移動 心電図と循環動態とは必ずしも密接な関係があるわけではない.心電図は圧,血流,収縮力といったような心臓の機械的収縮に伴う諸現象(循環動態)とはただちに結びつかない.たとえばQRS波の大きさは,心収縮力の強さとは無関係であり,それは心室壁の厚さ,心臓の位置およびそれらの変化による心臓と電極との相対的距離の変化とか,電気的フィールドの変化とかいった誘導条件により定まるものである.
しかし,臨床的に各種の循環動態に変化を及ぼすような条件が,心臓または全身循環系に生じた場合,その結果として各心房または心室に,肥大,拡張が起こり,心電図上に変化をもたらす.すなわち心電図からただちに循環動態を推測することはできないにしても,肥大とか拡張とかいった心臓の形態学的変化を推測することにより,その背景にある疾患,ひいてはある程度の循環動態を間接的に憶測することはできる.したがって心電図をみる場合,通常ただちに疾患名を診断することはしないで,たとえば‘心電図上,典型的な右室肥大,僧帽性Pの存在があり,これは僧帽弁狭窄症にCompatible (相当する)所見である’といったいい方をする.
しかし,臨床的に各種の循環動態に変化を及ぼすような条件が,心臓または全身循環系に生じた場合,その結果として各心房または心室に,肥大,拡張が起こり,心電図上に変化をもたらす.すなわち心電図からただちに循環動態を推測することはできないにしても,肥大とか拡張とかいった心臓の形態学的変化を推測することにより,その背景にある疾患,ひいてはある程度の循環動態を間接的に憶測することはできる.したがって心電図をみる場合,通常ただちに疾患名を診断することはしないで,たとえば‘心電図上,典型的な右室肥大,僧帽性Pの存在があり,これは僧帽弁狭窄症にCompatible (相当する)所見である’といったいい方をする.
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