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文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻12号

1971年12月発行

文献概要

特集 酵素検査法 生化学

リン六炭糖イソメラーゼ(PHI) Phosphohexose isomerase

著者: 玄番昭夫1

所属機関: 1群大・中検

ページ範囲:P.1211 - P.1213

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いとぐち
 リン六炭糖イソメラーゼというよりも,その英語名の頭文字をとってPHI(phosphohexose isomerase)と呼んだほうがかえってわかりやすい.この酵素は解糖系酵素の1つであり,図のようにブドウ糖-6-リン酸と果糖-6-リン酸の間の転換を可逆的に触媒する.この両者は互いに異性体(isomer)であるが,このように異性体間の転換に関与する酵素を一般にイソメラーゼと呼び,そしてこの場合は六炭糖のリン酸エステルについての異性体転換であるためにPHIと名づけられている.この反応はpH7.0,25℃でブドウ糖-6-リン酸が70%,果糖-6-リン酸が30%で平衡に達する可逆的な反応である.
 PHIの発見は1933年と古いが,この臨床的応用は1953年のBodanskyの研究に始まる.すなわちBodanskyは悪性腫瘍,特に胸部や前立腺の癌患者で,しかも骨転移を起こしているものの血清PHIはしばしば高いと報告し1),そして血清PHI測定法についても詳しく記載した2).しかしPHIはほとんどあらゆる組織に広く存在しているので,別に癌疾患に特有な酵素であるはずはなく,事実その後いろいろな疾患の際にも血中に出現してくることがわかったため,現在では本酵素の測定はその非特異性のためにあまり行なわれていない

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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