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文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻5号

1971年05月発行

文献概要

Senior Course 血清

ランドシュタイナーの法則に従わぬ血液型(1)

著者: 村上省三1

所属機関: 1東女医大・輸血部

ページ範囲:P.515 - P.515

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 ランドシュタイナーの法則というものがあります.あまり聞きなれない術語かもしれませんが,聞けば‘なんだ’と思われるようなものです.すなわちヒトのABO式血液型は抗Aおよび抗B判定用血清を使うと,それに対する血球の反応性から判定できることは皆様もよくご存じですが,逆にすでにA型およびB型とわかった血球を使って,血清の中にある抗体(抗Aまたは抗B)の有無を調べることによって確認することができます.そしてこの場合,両方から推定した血液型が一致するのが普通です.その関係を表に示しておきます.このきわめてたいせつなルールをいつからとはなしに,ABO式血液型発見者であるカール・ランドシュタイナー博士の名を冠して呼ぶようになったのだそうです.
 臨床医学でどの血液型が一番たいせつかと申しますと,なんといってもABO式血液型であると申さねばなりません.神がかり的な表現を許していただげるならば,神はABO式血液型が一番たいせつであればこそ,2つの方法で判定し,確認できるように作ってくださっているのだといってもよいと思います.ところが人間は罪深いものでありまして,神のせっかくのご好意をもすなおに受けいれず,判定用血清を使う方法のみを行なって,やらずもがなの誤ちを起こしているわけです.そしてときには患者の死をもってすら報いられているわけです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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