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文献詳細

雑誌文献

臨床検査15巻9号

1971年09月発行

文献概要

総説

抗体産生の機序

著者: 浜岡利之1 山下優毅1

所属機関: 1阪大癌研究施設腫瘍発生研究部

ページ範囲:P.865 - P.871

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はじめに
 生体は病原菌などの外来刺激をうけるとそれに対して抗体を産生,これらの刺激物質に対し抵抗性を獲得する.生体にこのような抵抗性を与える抗体は,血清タンパクのγ—グロブリン分画に存在することは古くから知られ,最近抗体活性を有するグロブリンを免疫グロブリンと総称するようになった.免疫グロブリンは多種類存在し,ヒトではIgG,IgM,IgA,IgD,IgEの5種類が現在までに知られている.そして,1つの抗原刺激に対しても通常何種類もの異なった免疫グロブリンに属する抗体が産生される.
 表1,図1にこれら免疫グロブリンの種々の性質ならびに構造模型図を示した.各免疫グロブリンは,L鎖およびH鎖よりなる単位から構成され,L鎖およびH鎖はS-S結合および非共有結合でそれぞれが結合されている.L鎖は分子量約22,500で抗原性および構造上の違いにより,κ鎖とλ鎖の2種類に分類される.L鎖は各免疫グロブリンクラスで共通であるが,分子量約53,000のH鎖は,各免疫グロブリンでそれぞれその構造を異にし,各免疫グロブリンクラスとしての特徴を備えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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