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骨髄腫の細胞と異常タンパク
著者: 今村幸雄1
所属機関: 1東大第3内科
ページ範囲:P.872 - P.878
文献購入ページに移動はじめに
骨髄腫(あるいは多発性骨髄腫)は10数年前までは珍しい疾患と考えられていたが,1955年ごろから患者数は急激に増加し,現在ではもはやまれな疾患とは考えられていない.厚生省の人口動態統計によると人口10万人あたりの本症による死亡率は1950年0.002人,1955年0.027人,1960年0.157人,1965年0.287人,1967年0.368人と患者数は最近特に急上昇を示しており,Hodgkin氏病の0.5人に近づきつつある.これは一方では患者数の増加ということも考えられるが,他方では電気泳動法に始まるタンパク質分析法の進歩と臨床面への導入,普及とによって異常タンパクの面から患者を発見する場合が多くなったことによるところが大きい.
特に最近10年間のタンパク質化学,特に免疫化学の進歩によって骨髄腫タンパクと免疫グロブリンとの密接な関連が明らかにされるにつれて,骨髄腫タンパクは一躍免疫グロブリン研究のモデルとして脚光を浴び,一般の関心を集めるようになつた.
骨髄腫(あるいは多発性骨髄腫)は10数年前までは珍しい疾患と考えられていたが,1955年ごろから患者数は急激に増加し,現在ではもはやまれな疾患とは考えられていない.厚生省の人口動態統計によると人口10万人あたりの本症による死亡率は1950年0.002人,1955年0.027人,1960年0.157人,1965年0.287人,1967年0.368人と患者数は最近特に急上昇を示しており,Hodgkin氏病の0.5人に近づきつつある.これは一方では患者数の増加ということも考えられるが,他方では電気泳動法に始まるタンパク質分析法の進歩と臨床面への導入,普及とによって異常タンパクの面から患者を発見する場合が多くなったことによるところが大きい.
特に最近10年間のタンパク質化学,特に免疫化学の進歩によって骨髄腫タンパクと免疫グロブリンとの密接な関連が明らかにされるにつれて,骨髄腫タンパクは一躍免疫グロブリン研究のモデルとして脚光を浴び,一般の関心を集めるようになつた.
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