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文献詳細

雑誌文献

臨床検査16巻1号

1972年01月発行

文献概要

Senior Course 細菌

腸内細菌の分類とその系統発生

著者: 橋本雅一1

所属機関: 1東京医歯大・微生物

ページ範囲:P.110 - P.110

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 腸内細菌を含む類縁の菌群を属に分類し,さらに明確に種を区別し,分離された菌株をこの基準に従って同定するとなると,かなりの混乱が生じてくることがある.これは,菌属の決定,種の定義で,研究者によってその基準が必ずしも一致していないことに原因がある.このような混乱を統一し,少なくとも腸内細菌の系統的分類を可能にする考え方としてまとめたのが表と図である.
 この表では,まず腸内細菌を混合酸発酵群とブチレン・グリコール発酵群とに2大別してある.腸内細菌がブドウ糖を利用して増殖したときの終末代謝産物は,CO2とH2をほぼ1:1に発生しながら,乳酸,酢酸,コハク酸など各種の酸を大量に産生する菌群と,CO2とH2を5:1の割に発生し,酸の産生はごく少量で,それに替わって大量のブチレン・グリコールを産生する菌群に分けられる.この糖発酵形式は,メチル赤試験とV-P試験の成績と関連がある.特にブチレン・グリコール発酵はピルビン酸のアセトイン縮合を伴う.この発酵形式の違いから,腸内細菌の鑑別にあたっては,V-P試験をこれまで以上に重視する必要がある.発酵形式によって大別された菌群について,乳糖分解性その他日常用いられる生理学的および生化学的性状の結果から,腸内細菌を大まかに属に分類したのが表に示した結果である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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