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Senior Course 病理
電顕によるウイルス性疾患の検索
著者: 三杉和章1 高田多津男1
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター検査科
ページ範囲:P.111 - P.111
文献購入ページに移動 電顕を組織検査に用いることによって大きく開かれた分野の1つはウイルス性疾患の病理である.光学顕微鏡では推論の域を脱することができなかった病変を,電顕では個々のウイルス粒子までも明らかにとらえることができるので,ウイルスによって起こる細胞内の病変がしだいに明らかになってきた.一方,種々のウイルスについて,その超微形態的特徴も明らかにされてきたので,電顕像からウイルスをおおよそ分類することも可能になってきている1).すなわち,電顕検査を行なうことによって,ウイルス性疾患を相当詳しく診断することも可能になっている.
このように,実用的な見地からもウイルス性疾患の電顕による検索はさらに広く行なわれるべきものと思われる.しかし,実際の臨床材料を検索する場合に,ウイルス性疾患の疑いが明らかになったときには,ホルマリン固定,あるいはパラフィンに包埋された材料だけしか残されていないことが多い.すなわち,電顕試料作製法として一般に行なわれるような方法で試料を処理することができない状況になっており,このため,電顕検査をあきらめてしまうことも多いようである.
このように,実用的な見地からもウイルス性疾患の電顕による検索はさらに広く行なわれるべきものと思われる.しかし,実際の臨床材料を検索する場合に,ウイルス性疾患の疑いが明らかになったときには,ホルマリン固定,あるいはパラフィンに包埋された材料だけしか残されていないことが多い.すなわち,電顕試料作製法として一般に行なわれるような方法で試料を処理することができない状況になっており,このため,電顕検査をあきらめてしまうことも多いようである.
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