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病理解剖の当面する諸問題
著者: 内海邦輔1
所属機関: 1国立東京第二病院研究検査科
ページ範囲:P.1112 - P.1113
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従来病理解剖は,日常診療における臨床診断の適否および治療の当否をチェックすることにより,臨床医師の診療能力向上に貢献することをもって,その主たる役めとしてきた.そのことは今も変わらないし,むしろ以前よりもいっそう重要性を増している.しかし,最近病理解剖には,以前とは別の重要な意義が加わってきた。最近のわが国における重化学工業の発達は,経済成長と平行して,空気,水,食物,衣料などの生活環境の汚染をもたらし,われわれの文化生活を危機に陥れている.
水俣病やPCB中毒などは,その氷山の一角である.このような公害病の実体を探り,防止策を講じる際には,病理解剖により,環境汚染物質の体内沈着や,それに起因する2次,3次障害の実体を明らかにすることが必要である.このようにして病理解剖の重要性は,従来の病院という舞台から,茶の間にまではいり込んできたのである.
従来病理解剖は,日常診療における臨床診断の適否および治療の当否をチェックすることにより,臨床医師の診療能力向上に貢献することをもって,その主たる役めとしてきた.そのことは今も変わらないし,むしろ以前よりもいっそう重要性を増している.しかし,最近病理解剖には,以前とは別の重要な意義が加わってきた。最近のわが国における重化学工業の発達は,経済成長と平行して,空気,水,食物,衣料などの生活環境の汚染をもたらし,われわれの文化生活を危機に陥れている.
水俣病やPCB中毒などは,その氷山の一角である.このような公害病の実体を探り,防止策を講じる際には,病理解剖により,環境汚染物質の体内沈着や,それに起因する2次,3次障害の実体を明らかにすることが必要である.このようにして病理解剖の重要性は,従来の病院という舞台から,茶の間にまではいり込んできたのである.
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