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文献詳細

雑誌文献

臨床検査16巻10号

1972年10月発行

文献概要

論壇

病理解剖の当面する諸問題

著者: 内海邦輔1

所属機関: 1国立東京第二病院研究検査科

ページ範囲:P.1112 - P.1113

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文化生活と病理解剖
 従来病理解剖は,日常診療における臨床診断の適否および治療の当否をチェックすることにより,臨床医師の診療能力向上に貢献することをもって,その主たる役めとしてきた.そのことは今も変わらないし,むしろ以前よりもいっそう重要性を増している.しかし,最近病理解剖には,以前とは別の重要な意義が加わってきた。最近のわが国における重化学工業の発達は,経済成長と平行して,空気,水,食物,衣料などの生活環境の汚染をもたらし,われわれの文化生活を危機に陥れている.
 水俣病やPCB中毒などは,その氷山の一角である.このような公害病の実体を探り,防止策を講じる際には,病理解剖により,環境汚染物質の体内沈着や,それに起因する2次,3次障害の実体を明らかにすることが必要である.このようにして病理解剖の重要性は,従来の病院という舞台から,茶の間にまではいり込んできたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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