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文献概要
Senior Course 細菌
catabolite repression—TSI培地での糖分解過程の一考察
著者: 橋本雅一1
所属機関: 1東京医歯大・微生物
ページ範囲:P.1166 - P.1166
文献購入ページに移動 TSI培地には,ブドウ糖に対し乳糖としょ糖がそれぞれ1:10の割に含まれていることは周知のことであるが,この培地にたとえば大腸菌を接種したとき,大腸菌はまずブドウ糖を分解し,つづいてしょ糖と乳糖を分解するのであって,この3つの糖の分解は同時に発現するのではないというのが,この培地で糖分解のパターンを読みとることができる機序の1つと言われている.では,なぜ乳糖とかしょ糖に先立ってブドウ糖の分解が起こるのだろうか.このことについて若干私見を交えながら考えてみたい.
基本的には,細菌もまた経済学的な行動を示すということである.ブドウ糖はいわゆる解糖過程(glycolysisまたはEMP回路)を介して,ピルビン酸にまで分解されてゆく(図1).この過程はどの糖が分解されるときでも同一であると考えてよいが,TSI培地での糖分解の順序のカギをになっているのがこのブドウ糖-6-リン酸なのである.
基本的には,細菌もまた経済学的な行動を示すということである.ブドウ糖はいわゆる解糖過程(glycolysisまたはEMP回路)を介して,ピルビン酸にまで分解されてゆく(図1).この過程はどの糖が分解されるときでも同一であると考えてよいが,TSI培地での糖分解の順序のカギをになっているのがこのブドウ糖-6-リン酸なのである.
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