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文献詳細

雑誌文献

臨床検査16巻10号

1972年10月発行

文献概要

Senior Course 細菌

catabolite repression—TSI培地での糖分解過程の一考察

著者: 橋本雅一1

所属機関: 1東京医歯大・微生物

ページ範囲:P.1166 - P.1166

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 TSI培地には,ブドウ糖に対し乳糖としょ糖がそれぞれ1:10の割に含まれていることは周知のことであるが,この培地にたとえば大腸菌を接種したとき,大腸菌はまずブドウ糖を分解し,つづいてしょ糖と乳糖を分解するのであって,この3つの糖の分解は同時に発現するのではないというのが,この培地で糖分解のパターンを読みとることができる機序の1つと言われている.では,なぜ乳糖とかしょ糖に先立ってブドウ糖の分解が起こるのだろうか.このことについて若干私見を交えながら考えてみたい.
 基本的には,細菌もまた経済学的な行動を示すということである.ブドウ糖はいわゆる解糖過程(glycolysisまたはEMP回路)を介して,ピルビン酸にまで分解されてゆく(図1).この過程はどの糖が分解されるときでも同一であると考えてよいが,TSI培地での糖分解の順序のカギをになっているのがこのブドウ糖-6-リン酸なのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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