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特集 輸血業務と臨床検査
供血者の選択と採血法
著者: 山崎順啓1
所属機関: 1東京慈恵医大・輸血部
ページ範囲:P.1206 - P.1215
文献購入ページに移動 輸血という特殊な医療行為の原点は供血者の選択と採血にある.‘人から人へ'という動かしがたい特異性の基盤にたってこそ,はじめて輸血の問題の本質にふれ,過去をふり返り将来を見とおし,さらに集積されたデータからよりよい方向への具体的な開発が可能となる.他の問題とまったく同じように,輸血問題といえども取り上げる時点によってまったく様相が異なることは当然だが,少なくとも現在のところ‘human to human'という特殊性を着実に把握しなければ輸血を論じ来たり論じ去るわけにはいかない.
体は与えるが血は1滴もやらないと痛快に見栄を切るベニスの商人の戯曲ではないが,まさしく血がなければすべて始まらないのだ.もちろん血液という自然の傑作から,人類の英知が作り出す人工血液へ切り替わるであろう可能性はすでに時間の問題かもしれないし,将来の必然性でもある.それはごく望ましい自然な流れであり,その方向への着実な研究が前進している事実は非常に喜ばしいことではあるが,今現在の段階ではやはりnothing like bloodといわざるをえないのが実情であろう.
体は与えるが血は1滴もやらないと痛快に見栄を切るベニスの商人の戯曲ではないが,まさしく血がなければすべて始まらないのだ.もちろん血液という自然の傑作から,人類の英知が作り出す人工血液へ切り替わるであろう可能性はすでに時間の問題かもしれないし,将来の必然性でもある.それはごく望ましい自然な流れであり,その方向への着実な研究が前進している事実は非常に喜ばしいことではあるが,今現在の段階ではやはりnothing like bloodといわざるをえないのが実情であろう.
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