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文献詳細

雑誌文献

臨床検査16巻11号

1972年11月発行

文献概要

特集 輸血業務と臨床検査

赤血球交差適合試験

著者: 小暮正久1 遠山博2

所属機関: 1群馬大病院輸血部 2群馬大・第1外科

ページ範囲:P.1248 - P.1252

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 交差適合試験は受血者(患者)および供血者の血清中に,相手の赤血球と反応する抗体が存在するか否かをあらかじめ検査し,輸血に適合する血液を選ぶ試験であることは周知のことである.この検査の目的は輸血副作用(溶血反応)を防止することにある.
 ここで念頭においておきたいことは,受血者と供血者との血液について,ABO式血液型が同型で,Rh0(D)因子が一致し,交差適合試験で異常反応が認められなければ,輸血は安全であると考えられるが,赤血球の膜にある抗原がまったく同一である人間は一卵性双生児のほかには存在しないとされているから,輸血された赤血球は受血者の体内で時には異物として作用し,免疫抗体を産生させることがありうること,それから受血者の血清中に存在する抗体が検出限界以下に落ちている場合には,輸血された赤血球が既往性免疫反応(anamnestic immune response)を引き起こし,抗体量を急速に増加させ,輸血後7-10日めに輸血赤血球の急速な破壊が起こること(delayed hemolytic transfusion reaction)もありうることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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