文献詳細
Senior Course 病理
筋疾患の電顕による検索
著者: 三杉和章1 三杉信子2
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター検査科 2神奈川県立こども医療センター整形外科
ページ範囲:P.223 - P.223
文献概要
正常の筋を電顕でみると,アクチンとミオシンの規則正しい配列によって生ずるA,I,Z,H,Mなどの帯と,それを複雑にとりまく小胞体系や糸粒体がみられる.筋原性疾患の代表ともいえる進行性筋ジストロフィー症では,筋原線維の配列の乱れ,断裂,消失など多彩な変化とともに図1(210ページ)に示すようなZ帯を中心としたZ帯の流れと呼ばれる変化を示す.これに似た変化は一見正常にみえる保因者(患者の母親など)の筋にも軽度ではあるが,しばしばみることができる.それゆえ,電顕による検索は保因者の検索,あるいは患者の早期発見の方法としてきわめて有用なものと思われる.
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