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Senior Course 病理
電顕による免疫組織化学—特に酵素標識法について
著者: 三杉和章1
所属機関: 1神奈川県立こども医療センター検査科
ページ範囲:P.447 - P.447
文献購入ページに移動 電顕のもつ高い分解能によって多くの新知見が得られていることは疑いのない事実である.しかし通常の電顕所見は‘静止した白黒像’にすぎないので,その像の本態が何であるかという疑問には直接答えることはできない.この‘通常の電顕像’の限界を乗り越えて,超微形態のレベルで詳しい性状を探りたいという願望から,組織化学や免疫組織学的な手法を電顕に導入する試みが活発に行なわれてきた.本稿では免疫組織法の電顕への応用,特に酵素抗体法について紹介したい.
螢光抗体法に用いられる螢光色素は電子密度が低く,電顕像として捕えることができないので,この方法を電顕に導入するには新しい標識物質を発見することが必要であった.標識物質としては電子密度の高いこと,抗体と安定した結合を行ない,しかも抗原抗体反応をそこなわないこと,他の物質と反応しないこと,切片作製過程で遭遇する種々の反応に対して安定であることなど,多くの条件を満足させなければならない.いくつかの重金属が標識として試みられたが実用には至らなかった.
螢光抗体法に用いられる螢光色素は電子密度が低く,電顕像として捕えることができないので,この方法を電顕に導入するには新しい標識物質を発見することが必要であった.標識物質としては電子密度の高いこと,抗体と安定した結合を行ない,しかも抗原抗体反応をそこなわないこと,他の物質と反応しないこと,切片作製過程で遭遇する種々の反応に対して安定であることなど,多くの条件を満足させなければならない.いくつかの重金属が標識として試みられたが実用には至らなかった.
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