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文献詳細

雑誌文献

臨床検査16巻5号

1972年05月発行

文献概要

Senior Course 細菌

Proteus属の鑑別と分類—フェニールァラニン脱アミノ反応を中心として

著者: 橋本雅一1

所属機関: 1東京医歯大・微生物

ページ範囲:P.554 - P.554

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 Proteus属は,腸内細菌の中でもいくつか独特な性状を示す1群の菌で,BergeyのManual(第7版,1957)では,1属5種(Prot. vulgaris,Prot. mirabilis,Prot. morganii,Prot. rettgeriとProt. inconstans)に分類されている.この菌属がほかの腸内細菌と鑑別される主要な性状は,フェニールアラニンの酸化的脱アミノ反応によるフェニールピルビン酸(PPA)の産生と,リジンの脱炭酸反応である.
 したがって,この菌属の鑑別には,まずこの2つの性状の検査が行なわれなければならないはずであるが,ルーチンの検査にはまだほとんど採用されていないようである.その理由としては,ふつう用いられる非選択培地(たとえばBTB乳糖加寒天)では,この菌属の多くが特有な遊走を示すし,また胆汁酸塩加培地(たとえばSS寒天)でも集落の性状からこの菌属の鑑別が容易に行なわれることが多く,確認培養でもその尿素分解性などの性状から,その確認が容易であるということがあげられよう.しかし,遊走現象はH型菌では著明であっても,発育してきた菌株がO型菌であれば,遊走の有無はこの菌属の推定には役だたない.また,SS寒天でのH2S産生による特有な集落性状も,Prot. mirabilisではこの性状を欠くものがしばしば出現するので,この菌属の推定には絶対的な基準とはならないであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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