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Senior Course 血清
多発性骨髄腫(1)
著者: 稲井真弥1
所属機関: 1大阪成人病センター免疫血清検査科
ページ範囲:P.793 - P.793
文献購入ページに移動 多発性骨髄腫(Multiple Myeloma;MM)は免疫グロブリンを産生する形質細胞系の腫瘍性増殖をきたす疾患で,その病態生理が明らかでなかった1930年ごろまでは,診断は剖検あるいは腫瘤の生検によってなさていた.すなわち肉眼的な骨の変化や生検材料による形質細胞の異常増殖など,形態的な変化を見いだすことに検査の重点がおかれていた.1937年,Tiseliusによって電気泳動法による血清タンパクの研究が開発されて以来,MMにおけるγ—グロブリンの異常が注目され,その後免疫化学の進歩によって免疫グロブリンの構造が解明されるにつれて,MMは免疫グロブリンの異常をきたす疾患であることが明らかとなった.そして免疫グロブリンの検査法が進歩した今日では,MMはそれほど珍しい疾患ではなくなった.
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