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文献詳細

雑誌文献

臨床検査17巻12号

1973年11月発行

文献概要

検査と主要疾患・11

出血傾向

著者: 中島弘二1

所属機関: 1山口大・第3内科

ページ範囲:P.1536 - P.1537

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 正常止血機構において凝固の機序が複雑なため疑固系が強調される傾向があるが,止血機構においては他の機序も重要な意義をもっていることを忘れてはならない,図1のつり革にぶらさがったダッコチャンをみると,出血は血管の破綻にょって起こるが,血管壁に破綻が起こると,まず血管壁の神経や筋線維に反射的に働き血管壁の筋肉を収縮させ,その部分の血液は減少する.また血腫や外力による圧迫により血管がつぶれたり,破綻して障害を受けた血管壁には血小板が粘着し,生じた血小板の凝集塊は血管破綻孔を充填する(血小板血栓).この際血小板はセロトニンを放出し,セロトニンの血管収縮作用により血管の収縮が維持される.またここでは接触因子(血液凝固第XI, XII,因子)の活性化により,血管内で内因性血液凝固機転が進行し,また周囲組織では組織トロンポプラスチンがVII因子,Ca++,V,X因子に作用し,外因性の凝固機転が進行し,生じたフィブリン血栓が破綻孔をふさぎ,血管の収縮が止まっても出血を起こさないほどしっかりした補修を行なう.このフィブリン血栓はだんだん収縮し,線溶現象によりフィブリン血栓は徐々に溶解除去されるとともに,破損された血管は器質化されて血管壁の修復は完了する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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